十一月の大要
- 台風30号が8日フィリッピン中部のレイテ島を通り、ベトナム・中国国境方面へ去った。瞬間風速90m/s(105m/sという米軍観測もある)、中心気圧895hPaで4mもの高潮を伴った。我が国に来た台風で900hPaを斬ったものは記憶にない。温暖化が進むと30号類似の大型台風が日本に来るようになるであろう。レイテ島では住居が壊滅し、死者は1万を超えると推測される。日本は医療チームを先発させ、輸送艦を含む艦船3隻、輸送機のほか1180人程度の救助隊(自衛隊)を派遣する。18日頃から実働を開始した。
- 18日のNHKクローズアップ現代は、深刻な日本の台風災害未来を描いて見せた。地球温暖化により、遠くない将来海水温度が2−3℃上昇する。それにより今世紀後半には、今回フィリッピン同様のスーパー台風が日本を襲う可能性が、シミュレーションにより指摘されている。関東近辺に上陸するとき高潮は東京湾で、台風30号のように高さが3mを越え、浸水域は東京湾沿岸一体に山手線の内側の4倍に達する。東京の地下鉄は水没し、当分は復旧不能になる。風速70m/sでも木材が5cmの軽量コンクリート壁を打ち抜く実験が示された。同様の災害を、伊勢湾や大阪湾、九州の有明海、鹿児島湾、瀬戸内海の周防灘、四国の高知沿岸でも覚悟しておかなければならない。
- 温室効果ガス削減の国際会議(ワルシャワCOP19)では、相変わらずの先進国対新興国の対立が続き、ポスト京都議定書の、自主目標型枠組みの目標提出時期すら決まらない。日本は、京都議定書では削減量6%(対'90年比)を義務づけられているが、大幅にそれを超える8.2%まで達成した。
- 太平洋戦争当時の韓国における戦時徴用に対し、日本企業に賠償命令が韓国司法から相次いで出され、両国関係の根底を揺るがす事態になってきた。徴用は当時の法律で合法的に行われ、両国分離後の後始末は日韓経済協定で政治的には決着済みであり、国際関係の安定という意味でも、64年昔のとっくに常識的には時効の問題を、何の根拠があって覆すのか、全く韓国は理解に苦しむ存在だ。現在の韓国の隆盛は、一つは多大の日本からの経済援助と技術援助の賜であり、恩を仇で返されたという感覚は、我々からぬぐい去ることが出来ない。街ではヘイトスピーチが横行しているという。嫌な隣人だと私も感じている。
- 読売は「冷え切る日韓」特集シリーズを14日から開始した。最初の記事の見出しは「反日売り込み 官民で」で、旧植民地時代の日本の「悪行」を全世界に向けてキャンペーンを張る行動を取り上げた。「悪行」に対する「善行」も数々あるが、一切触れないでのキャンペーンらしい。世界が平和友好を指向する中で、異常としか云いようのない行動である。
- 15日には「米国での反日 力増す」という題で、韓国系団体の反日活動を特集した。従軍慰安婦が、日本国政府の政策として、奴隷狩り同様の手法で集められたかのごとき宣伝をしているらしい。かって奴隷解放闘争のあった米国でのアピールを狙った汚い手法である。戦地に女郎屋が開業していたのは事実だと思う。女郎のほとんどは日本からで、国内の遊郭の延長だった。女郎は芸者制度の最下層に位置する男相手の商売で、売春婦そのものだった。朝鮮にも芸者制度に対応する妓生(きしょう、キーセンまたはキーサン)制度があって、それに公娼が含まれていることはWikipediaにも出ている。敗戦まで朝鮮半島住民も日本人だった。我々は同胞として教わった。同じ日本人で、本土からは出稼ぎ、朝鮮からは奴隷狩りで女が集まったなんて誰が信じる。本Webサイトの「三月の大要」にも記載している。NHKのドラマ人間模様「冬の桃」('77.4.7〜5.26)に戦中に横浜から占領地へ出稼ぎに出る女の群像が紹介されていた。これは俳人の手による随筆が原作になっている。朝鮮からも基本的には同じだったろうと思う。
- 16日は「「韓国が上」対抗心に拍車」という題であった。日本大使館の建て替えにさえ異議を唱え、剣道、柔道さては寿司まで朝鮮半島由来だと大まじめで論じ、日本なんて大したことがないという「卑日」意識が芽生えているという。中国には周辺民族を卑しむ思想つまり中華思想がある。その周辺国にも順位があって、中華から見ると日本は朝鮮よりさらに卑しいことになっていたと本で読んだことがある(本Webサイト「野蛮人の階級」'97)。今韓国は中国を向いている。まさに中華思想への回帰を指向しているように見える。16日の読売には「富裕中国人 韓国を席巻」という観光事情が出ていた。日本人客はどんどん減っているそうだ。
- 19日は「「日本は仮想敵国」常識」という題目だった。敵視すれば相手(日本)が、お友達になってくれとお土産(援助)を持ち、辞を低くしてお願いに来ると思っている。戦後長期にわたって日本政権が、そんな誤ったシグナルを送り続けてきたことは反省せねばならない。図に乗らした。20日の読売の「冷え切る日韓」の題目は「「反日無罪」教育が影響」であった。親日発言をした年寄りが殴り殺されたり、著書を事実上発禁処分にされたり、ウィーン条約を批准しながら、日本大使館周辺だけはデモを黙認したり、とにかく韓国人はこと日本に関しては理性を欠いた行動をとる。歴史学者の日韓共同研究でも、韓国側は怒りつのって議論にならないという。反日教育は恐ろしい。教育を受けた人が死に絶えるまで、その国の反日は続くと思わねばならない。22日は「反日あおる韓国メディア」、23日は「国民情緒 韓国司法を支配」という題だった。24日は「韓国 世論過度に意識」だった。26日には、「韓国には文句を言えば日本が引き下がるという信仰に近い「甘え」がある」ことを取り上げた。27日読売に韓国漫画「マンファ」売り込み、日本漫画をライバル視という記事が出た。産業ばかりか文化まで日本が開拓した路線を辿る。2番手戦略は利益は確実だが、オリジナリティの少ない国は、世界では一流国とは見なされないことに、もう気づくべきではないか。
- 17日の読売に「習近平研究」という題の解説記事があった。朴大統領への異例の配慮に、韓国と日米の分断の狙いがあると洞察している。私は坊主(日本)憎けりゃ袈裟(自由圏)まで憎いというような、ハチャメチャな韓国外交を心配している。解説には中国の華夷秩序思想が見え隠れするとあった。中国から離れるほど野蛮だという伝統思想だと解説してある。「野蛮人の階級」に取り上げているとおりの話である。
- 23日中国は尖閣諸島を取り込み、日中中間線を大きく日本側に食い込んだ防空識別圏設定を一方的に発表した。彼らはまた一歩危険な領域へ足を踏み出した。同日発表の内閣府調査では「中国に親しみを感じない」が81%だった。
- 最高裁は昨年衆院選挙の1票格差に対し「違憲状態」の判決を下した。議員たちは安堵しただろう。高度に政治的な判決である。何10年も続く民主主義の根幹にかかわる事態に、選挙無効どころか違憲にも達しない判決には呆れる。読売は解説「1票の格差 改革の行方 下」で「是正「司法の役割ではない」」と論じた。選挙方法の選択は司法の役目ではないが、選挙無効あるいは違憲判断は司法の最重要役割である。「1票の格差 改革の行方 中」では「「都市部の議員だらけ」懸念」という題であった。読売の保守右翼化傾向を心配する。
- 福島市長選で自公社支援の現職が地縁の薄い元中央官僚の新人に完敗した。地方首長選における与党側の敗北が目立つ。本年に入って福島県での現職敗退は4人目である。元来福島県は与党系保守系の強い地方である。
- 文化庁は重文美術工芸品が少なくとも85件所在不明だと発表した。内57件には盗難届が出ており、個人所有の388件が未回答という。国宝6件も含まれる。TVに出た古美術商がブローカーの旨味を話していた。管理が行き届かないのなら、せめて所在発信器を埋め込むことを義務づけてはどうだろう。
- 天皇主宰の秋の園遊会で、山本太郎参院議員(東京選挙区)が原発反対の手紙を直接手渡した。11/2の読売は大きな記事で取り上げ、社説、編集手帖でその行動を非難した。天皇家を生々しい政治問題に引き込むなどもってのほかで、目立てばいいという程度の発想であったのかも知れないが、自分しかない幼稚きわまる短絡型頭脳には呆れかえる。彼に投票したヒトは反省すべきである。オリンピック東京招致における総会での、高円宮妃久子さまの演説は世界的に高く評価されたが、政治問題化しやすい招致には直接触れない、注意深い配慮がうかがえる内容であった(本Webサイトの「九月の大要」)。議会で問題視されているが、山本本人は辞職しないと云う。60万人から選ばれたのだからと理由付けしていた。その60万人に対して責任を取れと周囲は云っている。また参院議長に、許可なく北朝鮮に渡航した日本維新の会のアントニオ猪木参院議員に対する懲罰動議が出された。
- 昨年12月の衆院選挙における徳田毅氏の選挙運動に、もと衆院議員・徳田虎雄氏率いる医療グループ「徳州会」の前代未聞の大型公職選挙法違反があったとして、東京地検特捜部がトップの6名を逮捕した。事件は内部告発により発覚したものらしい。NHKクローズアップ現代は14日に全様を解説した。「徳州会」は今や350もの病院を全国展開する大グループで、議員時代の虎雄氏の政治力の賜らしい。各病院からは職員が選挙区のある鹿児島に無給研修の名目で送られ、選挙活動に従事させられた。職員の個別訪問まできっちりとスケジュール化されていた。失った所得は後日手当の形で補償された。徳田毅氏は自民党を離党したが辞職はしていない。猪瀬東京都知事の、徳田毅氏からの5千万円「選挙前借金」が表に出た。
- TPP交渉が始まって、日本政府の農業支援の実態が各誌により報告され、その手厚さにあらためて驚かされた。ヨーロッパの1/10、アメリカの1/100、オーストラリアの1/1000の耕地しかない農家がなぜ欧米並の生活が出来るのか、少し解ったような気がした。コメ減反補助金、定額補助金、米価変動補填交付金、飼料用米や麦などへの補助金、農地や水路などを維持する農家などへの支援、それにものすごく高い関税障壁である。カロリー自給率から云うと、もし食料輸入が途絶したら、国内がフル生産しても6-7割ほどが餓死せねばならぬのに、食料輸出可能国とのルート作りを農家が潰している。26日の新聞に、新たな農業補助金政策が載った。農地保全の名目で最大5400円/10アールで、現在より1000円増額される。水田だけでなく畑や草地まで一律に対象になるので、全国で400万haになり、民主党時代の115万haを大幅に超える。TPP対策という大農化政策に逆行するバラマキである。ただし5年後には減反が廃止される。減反への補助金は半額の7500円/10アールとなる。
- 安全保障の機密情報に対する特定秘密保護法案が7日に衆院本会議で審議入りした。行政の恣意的決定が横行すると、「知らしめず寄らしめよ」の伝統的民衆統治法に繋がる。米国流の第三者による監査に、安倍首相は否定的であったが、「第三者機関」の設置検討を法案附則に盛り込むことで、維新の会と一致した。毎日は米国元高官からの、行政の裁量範囲が広くそれに対する監査機構が緩いことへの警告を何回か載せた。26日衆院通過。
- 26日読売に「自民沖縄 辺野古容認へ」の記事が出た。今までの民主党政権時代以来の猛反対は何であったのか。
- 先月、阪急阪神ホテルズの食材虚偽表示事件があったが、その後続々と類似行為が著名レストラン、著名百貨店で発覚し、今では偽称のない店の方が少ないのではないかとさえ疑われる始末である。8日の読売は「底なし」の表現をとった。
- 家電量販店ヤマダ電機が始めて9月の中間決算で赤字を出した。ネット通販との低価格競争の結果のようだ。本Webサイト「「いいね!」の社会破壊」の指摘が家電に及んだと見るべきだろう。
- 7日、若田光一宇宙飛行士らを載せたソユーズが国際宇宙ステーションとのドッキングに成功した。若田氏は4回目の宇宙飛行で、今回は長期滞在になる。来3月からは船長就任が決まっている。日本はこのプロジェクトにすでに7100億円を使った。欧州全体に匹敵するほどの金額という。ただし米国は10兆円を使用している。めぼしい産業上の成果は出ておらず、当事者は将来への継続を云うが、専門家たちのお遊びの状況である。首相は宇宙開発予算縮小を提言している。私も当然と考える。
- プロ野球日本シリーズで、楽天が巨人を4勝3敗で下した。美馬投手が2勝を挙げた功績でMVPに選ばれた。NHK杯アイススケート・フィギュア男子シングルの優勝は高橋大輔、女子シングルは浅田真央の両選手であった。ロシア杯では町田樹選手が優勝した。スピードスケートのW杯第2戦ソルトレークシティー大会(高標高のため空気抵抗の低い高速リンクなので、標高zeroのソチ五輪会場では馬力がないと苦しいという。)男子500mの2レースで加藤条治、長島圭一郎の両選手が優勝した。大相撲九州場所では日馬富士が最終日に白鵬に勝ち14勝1敗で優勝した。
- 演歌歌手・島倉千代子が75歳で逝った。「からたち日記」「人生いろいろ」など数多くのヒット曲を出した。甘く純粋な歌い方だった。男運が無く、連帯保証人などで食いものにされたという印象の人生であった。
('13/11/27)