グレートネイチャー
- NHKオンデマンドの「グレートネイチャー」シリーズを見る。
- まず「ロシア バイカル湖〜2500万年の神秘〜」。ガラパゴス諸島、小笠原諸島も含め、孤立した生態系のレポートには心惹かれるものがある。ユーラシアプレートとアムールプレート(日本でフィリッピンプレート、北米プレートと接している)の境界にある世界最古の湖:ロシア・バイカル湖は、ユーラシアプレートにインドプレートがぶつかり、上記境界面を南側から押し込むことにより生じた。境界は地震を伴いながら、年々4−5cmずつ離れてゆく。ことに西岸は急峻である。水深は1630mと世界で最も深い。溜まった泥を除けると9000mと云う。バイカルアザラシをはじめとする独自の進化を遂げた固有種の多さも圧倒的だが、魚影は豊かと云えない。透明度の高さが物語るように微生物の発生量が少ないのだ。湖底に沈んだ生物死骸がメタンハイドレードを作り、それが水深の浅い部分に滲み出てガスとなって噴出している。メタンハイドレードを持つ湖はここだけだ。昔40.5mという世界一の透明湖であった。今回は透明な場所でも20−30m。冬は60−100cmほどの氷に覆われるが、夏に近づき氷が溶けると、密度の関係で透明な底部の水と置き換わる。湖底には固有種の大型海綿(40cmもの高さになる。固着して動かない。海綿は最も下等な動物)が、上層で繁茂した植物プランクトンを吸い漉して、栄養にしている。海綿以外にも浄化に役立っている生物がいる。
- 続いて「初公開!純白の大地 〜カザフスタン〜」を見る。その舞台は、カザフスタン西部にある“純白の大地”。石灰岩の中でも、ひときわ白い「チョーク(白亜)」の層だ。1億年前の海(テチス海:今の地中海+黒海+カスピ海)がインドプレート衝突による造山地殻運動で盛り上り、形作られたものだと分かってきた。貝殻などの化石なのだ。カザフスタンのこのあたりは、ほとんど砂漠に近い、草木の僅かな命の薄い地域である。案内人ほか地元の人がロシア語を話す。ロシア人侵入以前はどんな言葉であったのだろうか、またその民族はどこへ行ったのだろうか。日本ではほとんど話題に上らない情報空白の土地カザフスタンの一面を知った。
- 「決死の噴火口大接近 〜インドネシア〜」は、火山が密集するインドネシアのジャワ島を紹介する。「ユーラシア」「太平洋」「オーストラリア」「フィリピン」の4つのプレートがせめぎあう。クラカタウはジャワ島西端に位置し、19世紀末に衝撃波が地球を7周半も駆け回る大噴火を起こし、島が大半吹っ飛んだ。今も活動活発で新たな島がどんどん隆起している。ジャワ東端のイジェン火山ではマグマが地表近くに迫り、600℃もあるため硫黄が自然発火して闇夜に青い炎を浮かび上がらせる。
- 「絶景!ダイヤモンドの大地 〜ブラジル〜」の舞台は、ブラジル北東部、シャパーダ・ジアマンチーナ国立公園。20億年前、北アフリカと南アメリカの大陸が繋がっていた頃、両大陸の間には浅い海があった。海面は上昇下降を繰り返し、堆積した砂が砂岩に変化して何重もの砂岩層を創った。砂岩層はフラットだが、雨水が次々と浸食し、地層の中間も侵されて行く。ついに支えきれなくなった地層は崩壊する。多雨地帯である。シャパーダ・ジアマンチーナ(ダイヤモンドの高原)という名前の通り、この場所ではダイヤモンドが多く産出。一獲千金を狙うダイヤモンド掘りが、この秘境を独り占めにしていたため長年秘境のままだった。
- 「ナミブ 七色に輝く不思議な砂漠」の舞台は、アフリカ南西部、ナミビア中心に海岸線に沿って南北2000kmにわたり広がるナミブ砂漠だ。地下には内陸部山脈からの川が流れている。砂は1000kmに及ぶドラケンスバーグ山脈からオレンジ川を経て運ばれる。この山脈は砂岩と玄武岩から成る。海に運ばれた砂は南極海から北上する海流に乗り、偏西風によってナイロビ沿岸に吹き上げられる。海岸線にすでに100mHほどの砂丘を創っている。砂は角の取れた石英質粒子である。長い歳月の間に表面の鉄分が赤茶けた色に変化する。空中写真では海岸より遠い位置ほど赤茶ける。独特の風向きにより、バラエティー豊かな砂丘を誕生させる。風速最大は海岸線で16m/sもある。まず風紋が海岸線一帯に創られ、移動と共に太く成長する様をこま撮り写真で示した。三日月砂丘、横列砂丘、縦列砂丘、星形砂丘と進化してゆく。最後の星形になると最高380mHの小山になる。取材班は、生き物のように形を変える砂丘の姿を撮影。
- オレンジ川の南方には、海流が北上するため砂がもたらされないから、岩石砂漠になっている。岩石は砂が固まったもの。ある岩石は2100万年昔の砂漠の存在を伝える。8千万年昔より存在したと主張する人もいるという。“世界最古の砂漠地帯”なのだ。また、ここらに毎年春先である8月に2−3週間に限って出現する“世界最大級の花園”の映像は圧倒的である。冬は4℃で、開花には多少の雨と16℃の気温が必要という。岩石砂漠地帯と云っても花園の出現地帯はまばらに樹木が生え、雑草も貧弱ながら地面を覆い、民家がちらほらあり、主要道路は舗装されている、私の目には半砂漠地帯である。水分は寒流によって海上に発生する霧だ。300種からあると云うが、ナマクアランドデージーの橙色の密度の高い絨毯の、広大なスケールに驚かされる。砂漠の植物は生活環境がより厳しい。このキク科の植物は短時間発芽の種と長時間発芽の種の、2種類の種を同じ花の中で作り出す。
- 「アメリカ大陸 創世の謎に挑む」はコロラド高原に発達した壮大な地層パノラマ・グランドステアケース(巨大階段)を見せる。我々の周辺にも地層を観察できる場所は数々ある。私の住む千葉県では、例えば大多喜城の城山に至る掘削道の壁面が地層模様を鮮やかに見せる。でも日本はプレートの衝突線にある関係から、地層は宿命的に薄く複雑に褶曲するのが常である。プレート中央部は大陸移動に伴う本質的な地層変化を雄大なスケールで今日に伝える。グランドキャニオンの最も若い層は2.8億年昔(ペルム紀)のものという。超大陸(パンゲア大陸)が存在した頃だ。厚い地層が重なっているのは、浅い海底にあったためだろう。
- キャニオンを北上すると「バーミリオンクリフ(朱色断崖)」、「ホワイトクリフ(純白断崖)」、そして「ピンククリフ(桃色断崖)」が次々と現れる。どの崖も何100mの厚さで、さすがに大陸、ほぼ同じ状態に気が遠くなるような時間存在し続けたことを理解させる。朱色断崖は2億年前の乾燥期に川によって運ばれた砂層が形作る。超大陸が分裂を始めた時期に相当する。その風化により前面に砂丘が広がるが、そこに恐竜の足跡が化石となって残っている。純白断崖は1.8億年前、桃色断崖は5.5千万年前の生成という。いずれも砂岩で純白断崖は遠くの山から強い風によって運ばれた砂による。桃色断崖は湖の中で堆積した地層という。色は酸化鉄だが、純白断崖は雨により鉄分が流し出されたため、桃色断崖は酸化鉄分が様々な砂の織りなす混合色で、堆積環境の異なるものの寄せ集めか。桃色断崖は最高標高2500mで、水の浸透と氷結融解が繰り返されるために、岩石はぼろぼろになり、40mHからの岩の棒が並び立つ奇観を呈する。
('13/10/14)