八月の大要

エジプトの混迷が深まり、互いに全く妥協しようとない暫定政権+軍vs.モルシ前大統領派(ムスリム同胞団)が、国を内戦状態へ落とし込むのではないかとさえ危惧されている。8/14モルシ派デモ強制排除。8/20の報道では死者が900名を超えたという。国営TVに、銃を乱射するモルシ派側デモ員が映っていた。「七月の大要」にも出ているが、デモに紛れて過激に内乱を煽るグループがいる。逆に政府側らしい狙撃員も認められている。イスラエルとの国境近くで、過激派武装集団が治安部隊を待ち伏せし、政府側の25人が死亡した。国立博物館が襲撃され、1000点以上の美術品が盗まれた。ガラスというガラスが破壊され、エジプトの無政府状態を天下に晒した。サウジは欧米が援助を見直す場合は、肩代わりの援助をイスラム沿岸中東諸国が行うと暫定政府に申し出た。クエートとアラブ首長国(UAE)も同調。トルコとカタールは同胞団支持。欧米の影響力が薄まるのはむしろ望ましい方向だ。何が何でも西欧型民主主義というのも一種の原理主義である。民主主義的発想が人民に根付くには1世紀が必要だ。今は秩序回復が最優先課題だ。
シリア内戦では政府軍の優勢が伝えられ始めた。外部からの過激派の浸透が改革派内抗争分裂を引き起こし、かえって改革派を後退させていると言う情勢分析もある。クルド人独立派に対しても過激派が対立を持ち込み、トルコあるいはイラクへクルド人難民が流れ込んでいる。ロシア(政府側)対欧米(改革側)という支援側の思惑対立が抗争長期化に結びついた。内国問題として火の手が拡大しないように努めるべきだ。化学兵器(サリン?)使用で数百名(1500名近いとも云われる)が死亡した。国連調査団が調査を終えた。米仏は空爆準備を整えている。英国は当初は参加の予定だったが、下院が否決したために出兵を取り止めた。
今年前半の東アジア域投資1.5兆円弱の内訳は、中国対アセアンがほぼ1:2になった。対日暴動が企業におよび、しかも賃金上昇傾向が強い中国が投資対象から外れつつある。アセアンの中ではインドネシアへの投資が急上昇している。インフラ整備の遅れがネックだが、人口世界第4位の市場が魅力になる(本Webサイトの「経済大国インドネシア」参照)。
ヘリ母艦「いずも」の進水式が行われた。兵装後'15年には就役する。1200億円。8/6のNHK newsWatch 9で日中間の悪感情が話題になり、中国側の日本関連話題の報道ぶりを問題にした。彼らは「いずも」を日本軍国化の好例と位置付けて報道していたことを紹介した。まず軍国化ありきの政治的報道であった。自国の巨大軍事力には一切触れていなかった。「アジア力の世紀」の図表1-3は、先進主要国の中で日本の軍事R&D費用は一番低いことを示す。未来戦の先読みをしていない重要な証拠だ。インドで国産空母が進水した。中国の海上覇権攻勢に対処するためとあった。
8/14の読売の「環境技術立国」にNOx分布の衛星写真が出ていた。中国北支中支内陸部が際立って高濃度になっていた。北京で太陽が霞むPM2.5の高濃度問題といい、中国の経済開発優先の発展が深刻な環境破壊に繋がっていることは明らかだ。
8/5読売論説に、大手銀行にまでハッカー集団による銀行口座よりの不法盗難事件が頻発している現状が載った。米中の首脳会議におけるサイバー戦へのクレームは、我こそ被害者という水掛け論に終わった。銀行ハッカーは7割が中国への送金だそうだ。「人を見たら泥棒と思え」のいやな格言が身に浸みる。儒教のような道徳思想が教義として発達したのは、その必要性がかの国では特別高かったからだとも思える。8/6の読売には、オマーンの銀行から、各国のATMを利用して、24時間内に40億円を盗み取った犯罪を解説していた。我が国でもゆうちょ銀行などが悪用されていた。犯人は国際手配中。8/8の新聞は、中国のネットに日系企業の社内文書が軒並みに大量に流出していると報じた。商道徳もクソもあったものでない国のようだ。8/14の読売に「見るとウィルスに感染する」サイトが増加している警告がトップ記事として出ていた。トヨタや環境省も標的になっていたという。ウィルスの出所は不明。
8/9の財務省発表で、6月に国の借金が1008兆円を超したことが解った。財政再建は、消費税率引き上げが決まらず、具体策化できていない。12日の発表では4-6月度GDPが前年比で2.6%増になった。輸出は伸びたが、設備投資はむしろマイナスで、来年4月の消費税の5→8%増税は微妙になった。かって'97、橋本政権のときに3→5%アップをやり、結果的には経済の20年にわたる大停滞を招いた。しかし財政再建は対外マニフェストである。遵守しないときの国債暴落による破綻も恐ろしい。
新自由主義の小泉政権が行ったタクシー業界参入自由化の決算が8/18の毎日に出た。運転手の平均年間所得が今291万円で、施行前より43万円下回るという。規制緩和が格差増大に働く良い例だ。私は中学時代に、自動車運転手が技能力ランクでは上位に位置すると習った記憶がある。介護士の給与水準もしばしば問題になる。マネーゲームの勝者だけが一方的に所得を増やし、今までは中間層であった真面目に汗水を流す層が底辺化する傾向を阻止せねばならない。
8/18のNHK SP:「"新富裕層"vs.国家〜富をめぐる攻防〜」はグローバリズム、新自由主義の一つの行き着く果てを見せる。このWebサイトに「タックス・ヘイブン」があるが、それは主に企業単位の行き着く果てであった。今回の主題は、生国の成功者が、儲けを引っ提げて税金の安い国に移民してしまう話である。新富裕層は年間所得が100万ドル以上のヒトを指す。日本からは年1500人以上の移民があるという。最人気移民先はシンガポールだ。先方は日本での儲けがまるまる移ってくるから大歓迎だ。その金が新たな事業を呼び新たな雇用を作る。長い目で見ればいつかは日本にお返しが来るだろうとは思うが、我が国が財政赤字に悩む今日、我が身の税金逃れのために、生まれ育った日本を捨てる行為には、「飼い犬に噛まれた」「恩を仇で返された」思いでいるヒトも多かろう。彼らはほとんどが若い働き盛りだ。かって報道された、生活費が安いという理由で海外で年金生活を送るヒトとは、基本的に人種が異なる。
輿石氏の副議長選出に伴う民主党参院議員会長選は、郡司彰前農相が北沢俊美元防衛相との接戦を制した。33:24であった。前者は輿石派の左翼、後者は反輿石派の右翼と見られている。保守系の幾人かは前者支持に回ったとも聞く。今回参院議員選当選7名中6名が労組出身で、民主党の労組依存体制が強まっている。大畠新幹事長も労組。早速の発言が豪雨被害発生中の安倍首相の休暇に対する非難だった。大震災ではないのだ、大雨ごとに出動していては身体が持たない、下らぬ発想の持ち主だ。維新の会幹事長の松本氏は、野党再編への話し合いは、この人選で、後退せざるを得ないと発言した。民主党の、万年野党型であった旧民社、社会という元の木阿弥への後退が懸念される。
みんなの党では野党再編に積極的であった江田幹事長が下ろされ、代表の渡辺氏に近い浅尾氏に替わった。どの野党も党事情優先で、一強時代の国会に国民が要望する野党のスクラムなど遠退く一方である。
福島では300トン/日の汚染地下水が海に漏れだしているという。東電は100トンをくみ上げ、恒久策としては政府は凍土壁により漏出停止を目論む。汚染物質との接触前の段階で地下水を抜き出し廃棄するという案も出ている。かって提案されたが、完璧を主張する地元に葬り去られたと聞く。あのとき了承しておれば先手が取れたのにと残念だ。地元の「疑惑心」と「浅はかな完璧主義」がしばしば対策を困難にしているのではないか。タンク保存の高濃度汚染水がタンク輪接合部のゴムパッキングから漏れて地中にしみ込んでいる疑いが濃くなった。国家が直接汚染防止に立ち上がるべき時期に来ている。完全除染など夢物語だ。汚染域は居住永久放棄地域にして、根本的対策の工事域にすべきだ。東電では小手先の手当しかやれない。
8/4のNHK SP:「調査報告 日本のインフラが危ない」は全国各地の橋梁トンネルなどの老朽化と追いつかないメンテ作業の実態を追った。浜松市当局の点検済みというインフラを専門家が抜き打ち再点検したら、30何ヶ所ものインフラの不安全が摘出された。自治体職員も業者も技術水準が低い。おまけに役所は、図面と業者の結果報告だけでやろうとし、自分の目で見ようとしていない。今年の公共投資予算は7兆を超し、道路新設事業が一斉に申請されている。画面の背景の、立派だが自動車は滅多に通らない道路を見ていると、高齢化人口減少を迎える地方になぜさらに道路を造るのか、不思議である。インフラ補修工事は困難な作業の割に単価が滅法に安く軒並み赤字といい、業者は入札さえやりたがらない。新設から保守維持方向へ道路行政を転換すべきである。
8/19の読売に「観光地「海外客は面倒」」という解説記事が出ていた。接客の評判は140ヶ国中第1位だが、観光客数は33位と振るわない。江戸時代からの旅行ブームで、我が国には国内需要だけで20兆円あるという。メディアが観光立国だと鉦や太鼓で騒いでも、これからは閑老人が増えることだし、面倒な客は敬遠しても充分やって行けると云うことらしい。記者は面倒の意味を十把一絡げで捉えているが、間違いだ。面倒なのは中韓客である。大浴場における彼らのマナーの悪さはその代表で、一度彼らを泊めた旅館はたちまちに評判を落とすから、今後の経営に悪影響が出る。電車ですら黒人と白人の乗る車両は別にしたような、かっての南部アメリカのような「差別(中韓風呂)」は出来ないしと云うことだろう。記者は実態をよく把握して貰いたい。
本年4月の小中学生国語算数数学全国学力テストでは、均一化しつつあるが、上位県(秋田、福井など)と下位県(沖縄など)が固定化する傾向も出ている。松江市教育委員会が委員長名で漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を打ち出し、ほとんどの学校がそれに従う姿勢を出した。思想の自由にかかわる問題を、事務局だけで決めて通達するとはどういう神経だろうか。結局は閲覧制限は学校判断事項になった。
マウスの始原生殖細胞をES細胞への3遺伝子の導入で得ることに京大チームが成功した。不妊性オスに本法の精子を作らせ卵子と体外受精させるとマウスが生まれた。生殖に関する研究は、生命の無限性と繋がるから一段と興味が深い。
宇宙ステーションISS行きの、我が国大型ロケットH2b「こうのとり」が打ち上げに成功した。ステーション軌道投入能力16.5トン、今回積荷は5.4トン。初の民営(三菱重工)の打ち上げである。24/25の高い成功率を誇る。
8/6のNHK SP:「終わりなき被爆との闘い 〜被爆者と医師の68年〜」はこの10年前あたりから注目されだした「第2の白血病」を中心に、生涯続く放射線病の恐ろしさを訴えた。原爆直後に急性障害があり、この原爆症から助かった人には10年後に白血病が襲った。染色体の9番と22番に異常が出るのが特徴だった。今回は不特定に方々の染色体が、あるものは普通2本なのが3本になったり、1本が欠けたり、部分的破損を受けたりと、広範囲の異常になっている。白血球のがん化を防ぐためには骨髄移植しか手がない。広島、長崎の医師の長年の継続性のある研究努力を描く。
8/28のNHKクローズアップ現代は「連鎖する“異常気象” 地球でいま何が」であった。日本を含めた中緯度地帯で遠隔地を連鎖的に結ぶ異常気象が続く。照射太陽光エネルギーの4%が地球に温存され、温暖化が確実に進んでいる。海水温度の異常な上昇が表面水だけでなく、海面下深くにまで及んでいる。北海道釧路市では、温かい海に住むイシガキダイやクロマグロが網にかかり、漁業者を驚かせている。8/29にはサケ網にサケではなくマンボが大量にかかっている業業現場を放映した。黒潮が親潮に突き出ているのだ。
水泳W杯個人400mメドレーに瀬戸大也選手が優勝した。8/9の対ソフトバンクの試合で、楽天の田中将大投手が開幕16連勝を達成した。プロ野球新記録。16日17連勝目を獲得。昨年来の連勝記録は21となり、これもプロ野球新記録である。次の登板(8/23)試合でも勝って、記録を伸ばした。8/22イチローが日米通算4000本安打を達成した。世界歴代第3位という。長嶋、松井両氏などとは段違いの成績で、しかもまだ現役である。栄誉賞を野球界から選ぶなら、野茂(アメリカ球界への道を開いた)、イチローの両氏であるべきだった。夏の高校野球を初出場の前橋育英が制した。ニュージーランドでのスノーボードW杯ハーフパイプで、平野選手(14歳、史上最年少)が優勝した。リオデジャネイロでの柔道W杯男子60キロ級で高藤選手が優勝した。66kg級の海老沼選手も続いた。73kg級は大野選手が制した。
考古学者・森浩一氏死去。官学系考古学者への戦闘的発言が注目された人であった。元演歌(「圭子の夢は夜ひらく」など)歌手の藤圭子が飛び降り自殺をした。精神を病んでいたという。かってタンゴの女王と言われた藤沢嵐子が死んだ。

('13/09/01)