新宿御苑2013
- 3-4年に1度ほど新宿御苑の花見に出かけている。決まって1人である。いつもは大木戸門からだったが、今年は新宿門から入った。入り口で持ち物検査をしていた。酒の持ち込み禁止の立て看板もあった。今までになかったことだ。風流心に水を掛けられた思いだったが、幾分でもセキュリティ度が向上するのならそれもやむを得ない。ソメイヨシノの開花宣言が3/16だから、その5日目に来たことになる。サクラはまさしく江戸っ子気質だ。宣言を待ちかねたようにパッと咲いてパッと散る。大半のソメイヨシノが満開だった。
- ヒザクラ系は一般に開花が早い。緋色の濃さの順に並べるとカンヒザクラにヨウコウそれにオオカンザクラ、カンザクラ、シュゼンジカンザクラ、ヨコハマヒザクラが第1グループ、タカトオコヒガン、コヒガン、エドヒガンは第2グループだろう。私はヨウコウが好きだ。我が家の近所の公園にも植わっていたと思うが、花の密度が高く、開花期に葉をほとんど出さないから全く園芸種的だ。ただその他のヒザクラのような大木は見たことがない。御苑では淡色のソメイヨシノが花景色の基調になっている。だからヒザクラはたいそう目立って華やかなのである。同じく淡色のシダレザクラがまさに満開であった。池の畔の大木は一番人気だった。まだパラパラ程度のオオシマザクラも純白の花、青い葉で引き立たて役になっている。ヤマザクラの中には開花したものもあった。でもまだまだこれからだ。大木揃いだから咲いたら見応えがあるだろう。カンザン、フゲンゾウ、イチヨウ、ウコンなどのサトザクラ群はまだ1輪も花を咲かせていなかった。来月中旬にでももう一度来たら違った景色が見れるであろう。一番咲きのカワズザクラはもうお終いに近かった。
- 3/1のNHK新日本風土記「東北の春」で、弘前の樹齢130年というソメイヨシノを映していた。日本最古という。ソメイヨシノはクローン・サクラである。サクラは自家不和合で、同じ遺伝子同士では種を作らない、でも動物とは異なり植物には万能幹細胞が体内に行き渡っているのを利用して、接ぎ木とか挿し木で同じ種の命を繋いでゆく。だが、遺伝学的に完全に証明されたわけではないが(本HP「四月のニュース」、「シンポ「iPS細胞研究の展望と課題」」)、寿命は代を重ねる度に少しずつ短くなる。江戸期に初代が生まれて以来何百年かは知らないが、現代のソメイヨシノは60年ぐらいの寿命が平均的だそうだ。
- 弘前の130年は、リンゴの剪定技術をサクラに応用したことによる例外だという。リンゴの剪定は、木の栄養が散らばって大きなリンゴが実らないことを防ぐために行う。新宿御苑の植木の管理状態はきわめて良好だ。あの幹の太さを見ると、弘前に負けず劣らず長寿のソメイヨシノがあると思う。要は手入れの良し悪しが寿命を決めると云うことらしい。それにしても、屋久島に行けば神代から生きているという杉があり、1000年クラスは当たり前というのに、ソメイヨシノの寿命の短さよ。シダレザクラだって400年は持つ。御苑を歩いていると、ソメイヨシノとよく似たサクラにアメリカと言う種が何本かある。どれも大木だ。エドヒガンとオオシマザクラの交雑種と聞く。ソメイヨシノと同じだ。似ていて当然である。同じ交雑種でも遺伝子の発露は同じはずがないし、親も同じ木でないから微妙に違うのだろう。でもどこが違うか解らなかった、というより花見だからと、そんな詮索はやらなかった。
- 御苑はサクラ主体だが幅広く集めた植物園でもある。サクラ以外の花も立派だった。思いつくままに記憶を辿ると、ハクモクレン、コブシ、チョウセンレンギョウ、サンシュユ、ユキヤナギ、キブシ。キブシは私の近隣には咲いていないので、垂れ下がった黄緑の花房がことに目立った。3-4本見たように思う。ハナモモ"源平"は2本。同じ枝に紅白の花をつける。第1分枝から先は全部紅または白であるのもあるが、第2分枝第3分枝と先端に行くと別の色に変わる場合もある。中の池に面したレストハウス前の"源平"に著しい。このハナモモも人気が高かった。
- ヤマザクラの列に沿うように植えられているツバキは、そろそろ終わりのようだった。旧御凉亭前の桃色八重咲き花のツバキはオトメツバキなのだろう、今が盛りであった。オトメツバキは日本原産と聞いている。枝に小花を並べるヒサカキは大木戸門あたりにあった。絶滅危惧種のハナノキは色濃い紫の小花をつけていた。あまり人気はなかった。その横にゲンカイツツジ。ツツジのシーズンはまだあとだが、例外的に早咲きする薄ピンク色の花である。ヒュウガミズキには出会ったが、トサミズキは見あたらなかった。それから捜したのに見つからなかったのがマンサク。近隣では見かけないから見ておきたかったのである。もう終わったのだろう。ミツマタも終わりに近かった。ボケは見事だった。この木は大きくはなれない。ヤマブキはほとんどが一重咲きだった。
- 草花にはあまり注意を払わなかった。ハナニラはいやでも目に入るほどに咲き誇っていた。ホトケノザは特に育てているのでは無かろう。ムラサキハナナ(ハナダイコン)は見落とした。玉川上水・内藤新宿分水に並行の散策路にはユキノシタがあったが、花はなかった。近所のヒマラヤユキノシタは立派に咲いているので、ただのユキノシタが見たかったのである。5月に入らないとダメらしい。新設の温室を一巡した。カトレアをはじめとするラン各種が美しかった。千葉市花の美術館の温室でもそう思うのだが、なかなか温室の花は覚えられない。馴染みがないからだろう。樹木に関しても同様のことが云える。図鑑か旅の途中で見たことがあるという程度では思い出せないものだ。
- 以下に訪問時の写真を何葉か並べておくので、クリックしてご覧下さい。
新宿御苑のヨウコウ
新宿御苑のカンヒザクラ
新宿御苑のシダレザクラ
新宿御苑のダイカンザクラ
新宿御苑のアメリカ
新宿御苑のオオシマザクラ
新宿御苑のオトメツバキ
新宿御苑のゲンカイツツジ
新宿御苑のチョウセンレンギョウ
新宿御苑のハチジョウキブシ
新宿御苑のハナモモ"源平"
- 新宿御苑には地下鉄の丸の内線で行った。JR京葉線から東京駅で乗り換えた。東京駅中央地下道両脇商店街がさらに拡大されていた。東京駅に来たのは今年2回目で、1回目には化粧直しが終わった東京ステーションホテルの下見をした。首都の玄関駅が日ごとに豪華に機能化され活気溢れる姿に進化し続けるのは嬉しい。だがその反面、地方駅との対比で、東京一極化の心配が目に見える形となって現れているとも感じる。TVの旅行番組にしばしば紹介される欧米諸国の地方都市の存在感を、我が国も意識して学びたいと思う。
('13/03/21)