アジア・オータムクルーズ

飛鳥Uによる'12年の11/18-12/13 25泊26日横浜発着のクルーズに乗った。台湾の基驕Aベトナムのハロン湾、ダナン、ホーチーミン、タイのレムチャバンそれから香港に立ち寄り日本に戻る。ベトナムとタイ、ツアーでのカンボチャは全くの初めてである。横浜出港日の最高気温は16℃、東南アジアでは33℃、戻った日は最高が10℃最低が4℃で、一年の気候変化を一月足らずで体験した。訪問先それぞれへの印象文は別途に書き上げる予定だ。気になって戻ってから'11年の1人当たりのGDPを調べた。ベトナム、カンボチャは1千$前後、タイは5千$余り、香港は34千$、台湾は20千$だった。ちなみに日本は48千$である。
乗客数は横浜からが150名ほどで神戸からを合わせて273名、それに対する乗組員数は470名と乗客の1.7倍になる贅沢きわまるクルーズになった。郵船クルーズ社は赤字と聞いている。それを象徴するようなクルーズで、小株主としては痛し痒しの感じだ。船賃が値上がり気味なのも判る。サービスも簡素化の方向にあるのも判る。でも他所との競争があるので無闇なことは出来ない。最近はカジュアルタイプの安い外国船が頻繁に日本に寄港するようになった。強敵である。私は外国船は知らないが、飛鳥Uは船賃だけで云うと最高級のラグジュアリー船に入る。ユニークな日本船としての存在感を持ち続けて貰いたいと思っている。クルーズ・コースの人気の凸凹は致し方のないことだ。帰ってから秋の日本一周の予約を入れたらエコクラスの客室はほぼ満席だった。1年弱先なのにである。
このHPに「ビジネスホテル」という記事がある。新書版の本に自分の経験を加えた感想文になっている。乗客は移動する大型豪華ホテルに居住するのだから、ホテル本は比較検討のいい参考書になる。そんな話をブリッジ見学の時に説明してくれた乗船3年目の見習士官と交わした。ホテル経営者は宿泊率が命だ。8割なら大成功、3割ではたまらない。飛鳥Uの乗客定員は872人。3割は262人。今回のクルーズは低空飛行なんだよ、キミ。なおこれは強調したが、アメニティは節約対象にしてはならない。歯ブラシを大衆型にしたら、とたんにホテルから客足が遠退いた例があるのだよ。部屋に行ってアメニティを点検した。ミドル以下の場合と比べて内容が変わっている。例えば安全剃刀。使い捨て型ではなく、替え刃つきの長期使用型になっている。ちょっと豪華になったようでこれは合格。
でも私は使わなかった。ここの2枚刃はよく皮膚を傷つけるので、持参の5枚刃でないといけないのだ。そう言う神経は、まだこの船には行き渡っていないらしい。私はこの船の石鹸が好きで、下船の時2個を貰って帰った。アメニティは持ち帰っていいことになっている。ただしタオルやTVは備品であって持ち帰ってはならない。それを間違えた豪傑の話が「ビジネスホテル」に載っている。厨房見学の機会を逃がしたのは残念だった。エンジンルームを先代飛鳥では見学したことがあるが、この飛鳥Uでは案内されたことはない。
食事は総じて良かった。特に5Fの大食堂のそれは朝昼晩全て良かった。単にうまいではなく、見た目にも凝っていて姿が楽しめるものが数々出された。中でも和食が良かった。だからか、ツアーでの外食がも一つと感じられた。間食はしない方だが、和菓子は良かった。日本茶が今一なのは惜しかった。夕食ではフィリッピン人の楽団が、望みの曲を奏でてくれる。我々も2度ばかり「アメイジング・グレース」をリクエストした。その2回目は我々の結婚記念日で、これを船内で迎えるのは2回目であった。親しくなった2組の夫妻に同席をお願いした。カジュアルの日だったので、お願いしやすかった。船からはシャンパン1瓶が贈られた。「アメイジング・グレース」は、沢口靖子主演のNHKドラマ「エトロフ遙かなり」に、主題歌のように何度も流れていた曲である。「ブルーライト・ヨコハマ」も今回繰り返し演奏された曲である。横浜居住の人が多かったからだろう。
食後のエンターテインメントにはほとんどに出席した。専属芸人ではマジシャンのサイカワ氏以外は歌手もダンサーもメンバーが一新しているようだった。クリスマスに因んだ演目もあった。ゲスト芸人の青春時代のグループはちょっと古すぎた。このHPに「年末の寄席」という記事がある。最近の寄席風景を書いている。ここら辺の生きのいい芸人に出演を依頼できないものなのか。訪問先ごとのローカルショーは乗船のお目当ての一つである。寄港先ごとの記事に載せる。教室発表会には太極拳、ウクレレとフラダンスが出ていた。短い期間のお稽古事なのに立派なものだった。なおクリューのフラダンス・チームは本物で、このクルーズでも何回かお目にかかった。温泉旅館でどさまわりの芝居を見る話はこのHPにも出てくるし、大正の頃は「伊豆の踊子」のような旅館巡りの旅芸人もいたらしい。温泉でなくても芸者は茶屋や割烹旅館につきものだった。宿での楽しみの方向はいつも変わらないが、船旅のエンターテインメントは、やっぱり贅沢しているんだと感じさせる。
昼間のゲームには一通り参加した。そんなにいつもと種類が変わらないし、自分の得手不得手はもう判っている。シャッフルボードとカローリングには団体戦ながら所定の成績を収めた。同じクルーズでは一度勝ったらそのゲームに二度は出ないことをエチケットと心得ている。賞品のルールが変わっていた。加算して一定額に達すると賞品にありつく。参加者を増やすためだろう。とにかく老人は出不精だから。これも恒例のカジノ大会ではブラックジャックに出た。昔の経験で、胴元がサービスのために無理な勝負に出て、たいていは大負けして客を喜ばせると判っていた。最後にサイコロによる丁半勝負があって、勝てば倍額負ければ全額没収だった。勝ったおかげでキーホルダーだったかを獲得し、家内は子どものように喜んでいた。ビンゴゲームでは今回もダメだった。ところが最後のアンラッキービンゴでアンラッキー組に残り賞品にありついた。少々の射幸心を煽るゲームとか大会は退屈しのぎにいいものである。
ホーチミン入港前の沖合いで船内が突然全停電になり飛鳥Uは停船した。飛鳥Uはエンジンで発電し推進器をモーターで動かしている。復帰に約1時間半を要した。まだメコン川を遡りだしていなかったからよかった。飛鳥Uは補助機関を除いても2基のメインエンジンを備えている。飛行機ではエンジン1基で十分飛行できる。双発でも4発でもそうだ。飛鳥Uのエンジンが両方とも止まることはあり得ないことで、船長説明では制御系統のトラブルと云うことだった。私が勤めていた工場では、主要な制御系統は安全のために2重にしていたように思う。通常は買電だが、緊急用に独立のジーゼルエンジンも置いていた。なんだか不可解であった。
大新聞の縮小版がその日にファックスされて新聞掛けに掛けられていた。前回乗船が年の初めだった。その頃までは共同通信のファックスだけだったと思う。クルーズが終わったら衆議院選挙だと知っていたので、これは助かった。鳩山氏が立候補を取り止めたことも、安倍総裁が底なしの金融緩和とか国債の日銀による無条件購入などを言い出していることもこれで知った。NHK TVのBS放送も綺麗に入るのだが、部屋は就寝用としていたからあまり見なかった。
PC室には再々出入りした。以前は自分のPCを持参していたが、今回からはUSBメモリーを船のPCで操ることにしたのである。操作法不慣れに対する用心にOpenOffice.orgをそれに仕込んでおいた。電子カメラの動画や写真をこのメモリーに移し替えてゆく。日記を書く。いろいろ欠陥が見つかった。Windows付属の動画再生ソフトを使えなくしてあるから再生チェックが出来ない。PC室ではワープロのWordを利用できるが、このソフトは連音節変換になるととたんにボロが出てくる。変換やり直しも手続きが面倒で、一から打ち直した方が早い。日本語にはやはり国産の一太郎を使うべきである。せめて辞書にATOKを入れて欲しいという要望を出しておいた。
洋上では衛星通信だろうからインターネットは高価に付く。それが有料なのは判る。でもビジネスホテルでさえWi-FiもPC貸し出しも無料の時代だ。Windowsの機能は全部解放すべきである。日本との連絡は国際通話可能の携帯電話が寄港地で機能するので、我々にはそれで十分だった。ただカンボチャ奥地のアンコールワットのホテルでは電波微弱で機能せず、またタイの港レンチャバンではe-メールは通じず、SMSで済ませた。ケータイは現地での安全のためにも1人1台持参が望ましい。私のケータイには時差自動調節の機能があって、日本との時差を勝手に調節してくれる。これは便利な機能であった。

('13/01/12)