美術展四題
- この夏に千葉市美術館、千葉県立美術館、千葉市立花の美術館および国立西洋美術館の4館を訪れた。
- まず千葉市美術館の「どうぶつ大行進」展を見た。この美術展は題名からして子ども向きのものと思っていたが、なかなかどうして、大人にもなかなか見応えのある展示であった。版画が主だったが、江戸期から昭和期までの日本美術に残る大量の動物画を、いろんな角度から系統的に並べたもので、写実的なもの、擬人化したもの、人の感情を移入したもの、吉祥画を彩ったもの、長崎を経て将軍に献上され見せ物になった動物たち、珍奇な輸入動物いろいろ、水中の動物・お魚もたくさんあった。目録には239点になっていたが、1点には例えば画帳とか連作ものも含まれるから実際の展示数はもっと多い。半数近くが個人あるいは他美術館、美術団体のコレクションだった。毎度感じることだが、この美術館の展示はユニークで立派だ。
- 土曜日に県立美術館と花の美術館を訪れた。前者では特別企画展「光のアート展」をやっていた。夏休みの子どもが対象のようだったが、大人にも面白い展示であった。光と音で造形を楽しませる。IT利用で観客に反応する作品も多かった。後者の館内は童話の人魚姫を主役にした花展示であった。稲毛海岸駅からバスで公園入り口まで運んで貰う。自動車を廃車にしてからは少し行きにくくなった。噴水は修理を終えていたが、館内の池にはまだ水を張ってない。11:30から30分あまりボランティアガイドの説明を聞いた。入り口にパピルスの本物があった。TVで見たばかりなので、直ぐ判った。その日の見所も案内してくれるのでガイドはやはり有益である。3人でタッグを組んでいるという話だった。ハイビスカスの系統(アオイ科)がいろいろ咲いている。温室の中のフウリンブッソウゲは初めて見た。屋上にもいろいろ咲いていた。ハイビスカスは真っ赤な花がポピュラーだが、黄色や、赤を黄が囲んだ多分園芸種らしいものも咲いていた。沖縄で黄色花のユウナを思い出す。大木だったから覚えている。それからオクラが今盛りだが、これも黄色っぽい。館内のトウガラシ各種、食虫植物は見応えのある展示だった。自然では食虫植物など滅多に見ることができない。
- 国立西洋美術館に列は無かった。ベルリン国立美術館展のチケットは読売新聞から貰っていた。いつものように音声ガイドのサービス(500円)を受ける。ここの音声ガイドはパンフレットの作品番号をペンでなぞると始まる仕組みになっている。24件の説明があるが、その内の9件は区分ごとの全体説明とエピローグに当ててあるので、作品説明は残りの15件であった。今回展示の看板になっているフェルメール「真珠の首飾りの少女」は意外に小さな作品だった。
- 題材を聖書やギリシャ神話に求めた作品はキャプションの文字から意味を読み取らねばならず、ヨーロッパから遠く離れた日本に住む我々が、文化の相違を意識させられる瞬間である。でも歴史上の人物として世界史に登場するほどのヒトの肖像は、知識に重ね合わせてみることが出来る。「マルティン・ルターの肖像」「エウクレイデス」「アルキメデス」がそれだ。絵として優れていると思った作品は、レンブラント派の「黄金の兜の男」と「ヤーコブ・ムッフェルの肖像」である。どちらも小品だが、老人の心の奥を覗かせるような表情に一流を感じさせる。素描の中にミケランジェロの「聖家族のための習作」があった。もう褐色がかっているが、画面一杯に聖家族の一瞬が生き生きと捉えてある。民衆の生活を伺わせるような作品は、教養も知識も要らないからだろう、ごく素直に共感できる。「喧嘩するカードプレーヤー」はよかった。一番良かった作品はタピスリーの「村祭(ケルメス)」だった。貧素な農家の前で数多くの農民が祭を祝っている姿をゴブラン織りにしている。1735年頃に織られたという。キャプションを見ると西洋美術館所有になっていた。
- 常設展を駆け足で鑑賞した。ここしばらくご無沙汰していた。ずいぶんとコレクションが増加していた。それも有名作家の作品が買い入れられている。個人所有の作品の寄託もあるようだった。ベルリン国立美術館展の展示よりもはるかに内容がある(息子が後日出かけて行き同じ感想を述べていた)。あとの予定がが迫っていたので、いつかじっくり鑑賞することにして上野駅に向かった。垢抜けした洋装の女性が多かった。さすがに首都だと思った。
('12/09/8)