九月の梗概

日朝交渉が4年ぶりに北京で3日間再開された。今は課長級の予備会談だが、次の局長級会談に引き継がれる。TVは相変わらず拉致被害家族の発言を露出させているが、世界にかつ日本に最も重要なのは北の原爆開発弾道ミサイル開発の阻止である。世界の中の日本を意識した大人の報道を指向してほしい。
アメリカ駐リビア大使が武装グループの領事館襲撃に会い死亡した。ロケット砲小銃という武装で、政府側の保安隊は防衛に役立たなかったようだ。襲撃の理由は、イスラム教予言者を侮辱する映画が製作され、インターネットで世界に流されたこと。反米デモは中東全域に拡大し、イエメンでは米大使館が襲撃を受けた。
尖閣列島に関する反発から中国特に上海では邦人に対する暴行が相次いでいる。9/16、17の新聞には日系工場への乱入放火とスーパーや個人店舗への放火略奪が報じられた。破壊写真が出たパナソニックの工場は、ケ小平来日時に松下幸之助に要請し進出決定されたという。今や中国のパナソニックは8万人を雇用する大企業である。恩を仇で返されたの思いが深い。中国政府に統治能力がないのか、後ろで糸を引いているのか。今の時代になっても中国人民は義和団的行動を正義のように感じているのであろうか。義和団事件では列強8ヶ国の武力干渉を招き、北京を占領されるまでにまで至った。9/14には中国監視艇6隻が一斉に領海に侵入した。フィリッピンとの領海問題では数を頼んで実質支配を試みている。9/18には12隻が領海を取り巻く接続水域に入り込み、内3隻が領海に侵入した。その日の反日デモは100都市に及んだ。
米国防長官が訪中前に日米安保条約に尖閣が含まれていると発言したことに対し、中国国防相が反発した。アメリカが背後におらなければ、尖閣は易々と中国の術中に陥る可能性を示す。沖縄基地のオスプレイは尖閣を行動範囲に収めることが出来る。沖縄はあの兵器は嫌いこの兵器は不安といっておれる場合ではない。防衛はお遊びではない。ガス抜きは十分やれたと判断したのであろう、次々日、中国政府のデモ抑制方針が出た。現地報告者は、デモ参加10元、尖閣出漁漁船10万元の報酬が出ていると伝えた。続いて行われた台湾の威示行動では、親中国財閥から漁船に奨励金が渡っていた。
9/22の読売に都HPに1.5億回/2日の不正アクセスがったと書かれていた。それにしても要らざる火付けを石原都知事はやったものだ。領土問題は外交では永久に解決できないカテゴリーに入るものなのだ。私はかってこのHPで「余計なお節介」と都知事を批判した。相手を怒らすだけなら誰でも出来るのである。息子が自民党総裁選挙に立候補したが、マイナスの影響を与えたのではないか。都には尖閣購入用資金にずいぶんと寄付が集まった。都知事はこれをそっくり個人および企業の被害の補償に当てるべきである。9/26の読売によると、次官級会談で反日デモ被害の損害賠償を中国に要求した。外相が、中韓念頭に、26日、国際司法裁の応訴義務拡大を国連で訴えた。着実な対応ぶりとして評価したい。
ウラジオストクで開催されたAPECは10日に終わった。プーチン大統領が極東重視の姿勢をアピールした。加盟国によるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けて取り組みを続けることを宣言に盛り込んだ。
アメリカ主導のTPPに関しては、合意が'13年に持ち越すだろうとメキシコ大統領は語った。維新の会は明確にTPP推進を謳っている。民主党では鹿野元農相派中心にまだ反TPP論が燻っている。
NHKスペシャル「シリーズ東日本大震災追跡 復興予算 19兆円」を見た。この巨額の予算補半分以上が、所得税その他の国民への直接増税で賄われる。冒頭沖縄国頭村道路の防潮堤工事が出た。東北大震災と何の関係もない便乗事業だ。類似事業が2兆円で、ほとんどが被災3県と異なる各地方への投資だ。産業投資はそれでも間接の間接で被災県にいい影響をもたらすだろう。刑務所事業増強とか外国若者1万人の無料見学(大半は東京、関西)会費用は便乗中の便乗である。がれき処理費の比較は面白かった。費用効果を初めから考慮して取り組んだ東松島市は、隣の石巻市の1/7(同一重量あたり)の費用に抑えることが出来た。被災地の事業復活に、食品加工業などが重点的に取り上げられているのは当然だ。県当事者が指摘するように雇用増強、経済波及効果などは、人が戻らない町の個人商店や個人開業医に投資するよりははるかに有効だ。鎌田キャスターは常々「今のヒトの生活」に重点を置いた解説をするが、将来の見えない救援再建活動ばかりに負担を強いられるのでは国民はたまらないだろう。
9/8の読売の社説は「「原発ゼロ」提案 現実を直視できない民主党」であった。再生可能エネルギー拡大に50兆円、省エネ達成に100兆円、家庭光熱費倍増で結局は失業増大である。9/9の「地球を読む」は「エネルギー政策 国益に背く「原発ゼロ」」だった。私がこのHPで再々指摘した事項が総まとめしてあった。9/7のNHK総合の「首都圏ニュース」では若者の正社員率が半分ほどで、昨今急激にNPOのホームレス対象の給食サービスに若者が増えている現状を紹介した。失業は不安定社会をもたらし、犯罪増大は必至だ。原発ゼロ運動は反産業運動で反雇用運動でもある。政府与党が反原発を国家の正義のように誤解するポピュリズムになぜ流れるのか。
NHK ETV特集「シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「第1回 ベラルーシの苦悩」」は、国土の1/4を汚染されてから26年間の、農業国ベラルーシの苦悩を語った。ソ連支配下の情報コントロールで、事故は一切住民には知らされず、住民は調査団からの断片的知識や軍の汚染除去作業、あるいは住民特に子どもに対する保健機関の健康診断実施などからやっと全貌を知るに至った。農業復活への努力は継続されているが、今も食用生産は不可能で、飼料用とかバイオ燃料用になっている。CsやPuの大量放出が福島と異なる。外部電源喪失を想定した非常用発電系統の実験中に制御不能に陥り、炉心が融解、爆発したとされる。福島も外部電源喪失であった。事故があればそれに輪をかけた重大事故を想定するのが普通なのに、東電は学習しなかったことを改めて残念に思う。だが事故即原発give upと短絡するのは、人類の成長の歴史につばを吐く行為である。
「第2回 ウクライナは訴える」はチェルノブイリ原発が立地するウクライナを取り上げた。強制避難区域の外側、年間被ばく線量が5mSv以下とされる汚染地帯に、事故以来26年間、500万人ともいわれる人々が住み続けている。公表された「Safety for the future未来のための安全」と題されたウクライナ政府報告書には、そうした汚染地帯での健康悪化を指摘し放射能の影響だと主張した。ウクライナでの低放射能の影響は、不充分な安全管理(当時1人あたり日本の1/100のGNP、その後の経済ショック)と汚染食品の経口摂取から来ているようだ。福島原発では住民の待避は迅速だった。ウクライナ経験は日本では徹底して学習されていたと思う。人類がこれだけの代償を払って学習した原子の火だ。活用しない手はない。経済は相対的なものだ。外国がこぞって原発の安い電力を目指すのに対し、我が国だけはやらないのは不合理極まる話だ。
9/9の読売一面トップに維新衆院選350名擁立へという記事が出た。橋下党首の維新八策はいずれも革新的だが、原発ゼロなどは出てこない。少し国家の計を考えれば、原発ゼロが国家に何をもたらすかすぐ分かる話なのだ。与党議員の面々は、次期選挙で大量落選しないためにも、見え見えのポピュリズムからは距離を置くべきだ。9/14政府はエネルギー・環境会議で「30年代原発ゼロ」を決定した。翌日の読売社説は「「原発ゼロ」は戦略に値しない 経済・雇用への打撃軽視するな」という題の大型の記事を掲げた。その横には「原発ゼロ」論理破綻の題で、「人気取り優先、矛盾押し通す」実態を細かに解説した。我が国の将来に有害な戦略であることは論を待たない。自民党総裁全候補は「原発ゼロ見直し」を公言した。外国機関は懸念を表明。19日政府は、「30年代原発ゼロ」を閣議決定から外した。
党首選挙が近づいた。民主党は若手中堅の押す細野氏が立候補を取り止めたために、野田首相再選が確実になった。次期選挙で当落線にすら乗らない連中のための御神輿に乗れば政治家としての先が無くなる。細野氏は賢明な選択で、かえって政治家としての将来性をアピールしたことになった。9/21野田氏再選。投票数の2/3を取った。国会議員票と地方票があまりかけ離れた結果でなかったのがよかった。
自民党は現総裁谷垣氏の国会活動の失敗(三党合意のあと不信任案可決で国会を空転させ批判を浴びた)で候補が乱立し、先の予断を許さない状態になった。谷垣氏は長老の支持も得られず立候補を取り止めた。石破、安倍、石原の3氏が有力候補で、決選投票まで行き、安倍氏が返り咲いた。地方票では石破氏の方が俄然多かった。公明党は無競争で次期代表に現代表の山口氏を選んだ。政権党返り咲きの時に如何なる主張をするのかほとんど報道されなかった。世論調査では自民党支持率20%に対し民主党のそれは16%程度になっている。第3党が日本維新の会で、西高東低の支持率という。9/22の読売には党首に事実上の拒否権が与えられると出た。第1党が過半でないと予想される次期選挙後の国会では、第3党がたいていキャスティングボートを握ると考えられる。大阪市長の橋下さんが国政に対して大変な権力を持つことになる。
大型台風17号が沖縄から北海道へ29日から1日にかけて縦断した。沖縄にさしかかってからは毎々発表される予想通りの進路を辿って北へ通り抜けた。
日本触媒姫路製造所のアクリル酸タンクが炎上した。重合反応が暴走したらしい。消防士に死者が出た。
司法試験結果が発表された。予備試験合格者の合格率が7割であったのに対し、法科大学院修了生のそれは2.5割を割った。大学別の合格率では5割以上が僅かに4校で、一橋、京大、慶応、東大の順であった。トップ4校は昨年と変わらない。大学院のぬるま湯的勉学環境が思いやられる。エリートになるにはそれなりの意欲と努力が必要だ。
数学の難問「ABC予想」解明の500pに上る論文が望月京大教授から発表され、世界から注目を浴びている。
NHKオンデマンドの「コズミック フロント〜発見!驚異の大宇宙〜」シリーズよりブラック・ホールと宇宙探索機はやぶさ、それからダークマターに関するものを見た。いずれも大型科学に関する優れた科学番組であった。
高3の山口選手が200m平泳ぎで世界新を記録した。大相撲夏場所で日馬富士が全勝優勝した。最後の白鵬との対戦は両者が死力を尽くして戦い、名勝負であった。連続2回全勝優勝の実績により日馬富士は横綱に昇進した。巨人がプロ野球セ・リーグの優勝を早々と決めた。チームでは阿部捕手の攻守にわたる貢献が光った。
アサヒスーパードライを大ヒットさせた樋口広太郎氏が死去した。新聞は氏の生前の正義感を讃えた。

('12/10/01)