四月の梗概U
- 内閣府の検討会は南海トラフ(浅い海溝)から引き起こされる巨大地震(軟弱地盤で震度7)に伴う津波の大きさを発表した。周期として1000年に1度というクラスのようだ。太平洋沿岸各所に20mを越す津波が予想される。政府の地震調査委員会が発表した長期予測で今後30年以内の発生確率をみると、東海地震は88%、東南海は70%程度、南海地震は60%程度という高い数字である。しかし、10年以内だと、東南海・南海地震はともに20%程度まで発生確率は下がる。
- NHK SP「MEGAQUAKEU 巨大地震 第1回 いま日本の地下で何が起きているのか」では、プレート間固着相であるアスペリティを中心に地震の発生原因を説明した。東北大地震では宮城沖のアスペリティから地震が起こった。この地点は昔から研究され、次回の震源となると予想されていた。だが、その東に大規模なアスペリティが控えていることには気付かれていなかった。宮城沖のアスペリティが滑り、それが引き金になってこの未知のアスペリティが動き、さらに連鎖的に周辺のアスペリティを滑らした。近年のGPS観測により得られている地面の歪みデータは、未知としたアスペリティの存在を暗示するものがある。歪みの蓄積分布は南海トラフ、北海道太平洋側沖が大地震の可能性を予知させ、また局所的に相模トラフあたりにも、関東大震災型の地震を思わせるデータが出ている。環太平洋地帯の大地震発生は、連鎖的に集中して起こるというスマトラ島沖の過去のデータがある。4/11本当にM8.6の大地震が起こった。今回は今までと異なり、ユーラシアプレートにめり込んでゆくインド・オーストラリアプレートの横滑りであったらしい。今アメリカのカリフォルニア地帯で、GPS測定が進められているという。
- 「MEGAQUAKE U 巨大地震 第2回 津波はどこまで巨大化するのか」では、ボーリングで得られる地層データから過去の津波の検証が進んでいることを報告した。またスパコン利用のシミュレーションが1億と言う膨大な複合地震の組み合わせから、最大規模に達した津波を予想する。最悪ケースでは大阪城にまで津波が押し寄せるという。東北大地震では宮城沖の歪み開放が引き金となって、さらに海溝に近い陸側プレートの先端部で地層の跳ね返りがあり、その2波の合成波が福島原発を壊滅させる大津波になった。岩手県の大津波はまだ未発見の震源地の存在を意味しているという。海溝の底に向かって大規模な地滑りが発生し、それが大津波の原因になることもあるという。日本近辺には海底に、何百もの大型地滑りのあとが見つかっているという。
- 探索船「ちきゅう」が東日本大地震発生海域のボーリング調査を始めた。
- 御前崎市長選で、原発共存派の現職が反対派を破って3選になった。関電の夏期能力不足がクローズアップされた。原発不稼働では20%近い不足で、計画停電などと気楽な発言をする反原発の政治家(橋下市長)に対し、関西経済界は危機感を強めている。火力発電用のLNGの輸入量増大と値上がりが著しく、電力事情をさらに暗くしている。'11年度の貿易赤字が過去最大の4.4兆円になった。東電会長は財界よりは辞退続出で出ず、原子力損害賠償支援機構運営委員長が勤めることになった。財界の枝野氏、仙石氏を初めとする政権への不信感が取り沙汰されている。確かに彼らにはアンチ業界的発言が多い。
- ソニー社長が交代した。昨年度赤字5200億円という。ソニーは映画、音楽、金融等の事業は黒だが、電子産業部門が不振だ。マスコミが謳った電子立国日本の筆頭がこのざまだ。ゲーム大手の任天堂が始めて赤字を計上した。民主党は産業育成を怠ってきたことを反省せねばならない。強い技術のはずの会社ですら、韓国勢に追いつき追い越されてしまった。日銀は試算として、国債などの国内債券の金利が1%上昇すると、国内銀行は6.4兆円の損害になると発表した。事業が倒れては日本の先はない。
- 4/25の読売の社説に米農家の実体が出ていた。所得全体の約6割が所得補償の給付金という。これに800%に近い貿易関税による利益を加えれば、全所得の9割以上が国家の保護による所得と云うことになる。常々雇用不安を抱える都市勤労者から見れば、全く不当な過剰保護である。「おんぶにだっこ」に慣れた農家が、合理化努力で自由競争に立ち向かおうとするはずがない。
- 経団連の21世紀政策研究所は'50年までの世界長期経済予測で、30年代には我が国の成長率はマイナスになり、GDPは9位に転落すると発表した。1人あたりのGDPはその頃韓国に抜かれるという。楽観的シナリオに直してもそう改善されない。政府債務が改善されない悲観シナリオでは、10年代にもうマイナス成長に陥る。現実はむしろこれに近いのではないか。たとえ消費税10%が国会を通ってももはや財政再建は不可能とし、自己資産の外貨建て金建てを説く本を書店で見かける。'11/10時点で日本の総人口は対前年比で25万人減った。65歳以上だけは増加の一途である。悲観材料ばかりが彷徨する。
- 4/12京都・祇園界隈で軽自動車が暴走し、死者7名重軽傷者11名の惨事を起こした。死亡した運転手はテンカン持ちで、医師家族から再三運転を止めるように勧告されていた。テンカン持ちの大事故はこれで何件目であろうか。ドクターストップに法的権限を与える方法はないものだろうか。検証では最初の衝突以後は意識のある運転をしているそうだ。パニック状態に陥っていたのではないか。京都・亀岡で軽自動車が暴走し、集団登校途中の小学生と同伴の母親を殺傷した。運転者は自動車免許のない少年であった。居眠り運転で、同乗友人は無免許を承知していたという。自己愛だけが膨らむ社会では、責任に対して自裁を求める社会風潮を復活させる必要がある。続いて2回小学生集団に自動車を突っ込む事件が起きた。ともに20代若者の運転で、歩道の区別が白線だけという道路だった。私が半世紀ほど昔に歩いたドイツの田舎道では、一段高い石の歩道が車道と区別して敷いてあったことを記憶している。箱作りには熱心でも、歩道のような地味な対象は、たとえそれが登校の通り道であっても予算化しないのが、日本の議会というものらしい。関越道でディズニーランド行きの高速バスが防音壁に衝突し、7名が死亡した。重傷多数。居眠り運転という。
- 読売に京大・同志社大の共同研究として、大学入学試験選択項目と卒業後の就職企業との関連が発表された。文系では数学を選んだものが大企業への就活に勝ちやすく、理系では理科科目比較で物理選択者が同様に強い。論理を訓練する学問のメリットであろうか。
- 「NHK SP 宇宙の渚 第1集 謎の閃光(せんこう) スプライト」は雷の上層、40−100kmの位置にスプライトと称する閃光があることを、宇宙からと地上からとで実証する。NHKの宇宙用超高速カメラが鮮明にスプライトの発生から終焉までの構造変化を捉えた。世界初という。落雷の時に、余剰のエネルギーが「宇宙の渚」に向かって放出される現象だ。大気光の原因がこのときに送り出される電気エネルギーだという。
- 佐渡で放鳥されたトキの番が自然界で雛3羽を孵した。国内では36年ぶりという。日本産のトキは'03年に全滅している。放鳥のトキは中国産を人工繁殖させたもの。一度自然を毀すと、回復がいかに高く付くかの好例だと新聞は書いている。
- フランス・ニースにおける世界フギュアスケート男子シングルスで高橋大輔が2位、羽生結弦が3位に入った。女子は鈴木明子が3位だった。ペアの高橋成美、マービン・トラン組も3位で、日本代表ペアとして初めてメダルを獲得した。フィギュアスケートの世界国別対抗戦の男子シングルスで高橋は276.72で第1位だった。パトリック・チャンは260点あまりで第2位。団体戦は最後までもつれたが、鈴木明子が今期のPersonal Bestで女子1位を得たおかげで、日本が優勝を遂げた。宮崎藍がゴルフ米女子ツアーで1勝を挙げた。プロ野球日本ハムの稲葉篤紀選手が2000本安打を記録した。日本ハムがFAで獲得した選手は彼のみで、「チームのために」の精神が買われている。新聞は彼の人柄を褒め称えていた。
('12/04/30)