二月の梗概
- 中国が東シナ海の日中中間点のガス田を無断開発していることが、NHKにより航空撮影され放映された。
- 国連安保理で中ロの拒否権発動により対シリア決議案が否決された。シリアはロシアの武器輸出先として強い関係がある。シリアでは政府軍のデモ隊に対する発砲により、11ヶ月ですでに5400人の死者が出ているという。否決後軍発砲によりまたまた100名からの死者が出た。
- 2/15の東証が9200円台となった。円の対ドルレートはその日78円半ばで3ヶ月半ぶりである。日銀がインフレ目標を具体的に1%とし、10兆円の金融緩和策を打ち出した直後であった。安達誠司:「円高の正体」、光文社新書、'12は明快に、200兆円の量的緩和により1.5%のインフレになり、円の対ドル相場は95円となるとしていた。安達氏はアメリカと日本のインフレ率の差が縮まれば、円安に動くという。後出しの発言だが、為替介入は円高規制に効果が無いとも書いている。ギリシャに対する第2次支援13.6兆円が21日に決まった。金融機関は実質7割の債権放棄をすると云う。ギリシャのデフォルトは回避され、東証は9400円台、円相場は79.8円/ドルと反応した。だがギリシャの5-7倍という経済規模のイタリアやスペインが危機状態となった時は、今の欧州では支援しきれないことが明白になった。IMFを含む基金拡充策が模索されている。ユーロは未だ危機状態を脱し切れていない。G20はユーロ圏の域内支援拡充を条件に、IMF強化で一致した。2/27ドルは81円台になった。アメリカ大統領選挙に関連してデトロイト事情がTVに出た。公共投資活発化により自動車産業界に活気が戻ったという。ドルが買い戻される理由の一端でもある。
- 2/20の読売夕刊に1月の貿易赤字が1.475兆円になったと載った。大震災やタイ大洪水の影響があったが、昨年来の傾向は赤字定着を指し示すようで将来が案じられる。LNG輸入量増大が大きな要因だ。関電の原発が全停止となり、全国の稼働中の原発は2基のみとなった。代替えエネルギー出費は今後も続く。産業流出を加速させるのか。原発所在県の判断が、日本のひいては失業率に及ぶ将来を握る形勢になってきた。
- 2/10大阪維新の会の船中八策が読売に出た。首相公選、参議院廃止、TPP参加、道州制など、既成政党では話題に載せてもいっこうに進められない政策を、衆議院選挙の時の公約に掲げるようだ。2/16、NHKニュースは、市当局の全職員対象のアンケートが思想調査に当たるとして組合が救済を求め、共産党委員長は憲法違反と論難したと報じた。紹介された調査項目は、確かに民主主義では禁じ手とされてきた内容に思えた。正確正直に書かないと処分対象になると云う脅しや、誰からどんな指示があったかといった質問は、常軌を逸脱していると云わざるを得ない。翌日の毎日はさらに日弁連の猛反発も報じた。読売にはなぜか、この橋下市長の、「衣の下の鎧」的本性に関する重大ニュースが、一切報道されなかった。
- シャープ3月期連結決算が赤字2900億円という。液晶とTVの不振が響いた。ソニーは2200億円の赤字、マツダは1000億円の赤字になると予想される。パナソニックは7800億円の赤だ。NEC、任天堂、住友金属、リコー、TDKも大赤字である。いずれも日本を支えてきたものづくりの会社である。リストラが地域経済に暗い影を投げかける。3次産業だけで余剰労働力を吸収出来るはずがない。いよいよ日本も失業率10%台へ進むのか。2/5の読売は「技術の優位性に陰り」という記事を出した。2/28の新聞は日本DRAM最後の拠点・エルピーダの破綻を一斉に報道した。電子立国日本と自惚れた期間は本当に短かった。高齢化少子化デフレ不況の長期化により消費が低迷するのに加え、「理系冷遇」のツケが構造欠陥となって、製造業を蝕みだしたと私は思う。携帯電話大手3社の営業は堅調だ。JFEとIHIが10月に合併して世界No.7の造船会社になる。
- 記録的大雪で、日本海沿岸、北海道に70名に近い死者を出した。内7割が高齢者で、屋根の雪下ろしなど除雪作業中であった場合が多い。行政は広域ボランティア活動を呼びかける。地方の除雪能力が目に見えて低下している。空き家の積雪による崩壊事故が報告されるようになった。僻地高齢者を支援可能な場所に移住させ、危険空き家を強制撤去するなど、現地で平素からやっておかねばならぬ対策がたくさんある。住民は現状のまま動かずに、支援だけを呼びかけるのでは片手落ちである。特に気軽に自衛隊に雪かき出動を要請するやり方は気に入らない。
- 読売の解説「指導者考」の2/2の記事に元フランス大統領特別補佐官の話が出た。「戦後の日本は戦争がトラウマとなり、強権を恐れるあまり議会に過剰の権限を与えた。米国も日本が弱い政府を持つよう望んだ。」30年先を見据えた政治を行うには、アメリカやフランスの大統領並みの強い権限が必要だとは、常々私も思っていたところだ。その日の読売の社説は、ユーロ危機に対応して、付加価値税(消費税)をフランスが19.6%から21.2%へ、イタリアが21%から23%へ、ギリシャ、イギリス、ポルトガルもいち早く増税に踏み切ったことを伝えた。世界ダントツの赤字財政なのに10%に引き上げることにすら、陰湿に反対する与野党議員特に与党の小沢氏鳩山氏の姿勢を見ると、とても今の国会には財務を任せられないと思う。世論調査では7割以上が消費税反対だから、まずは選挙戦での有利不利が態度を左右している。世論が反対するのは実入りが減るのだから感覚的に当然だ。それを乗り越えるのが本当の政治家だ。
- 2/3は山内教授の話であった。「フランスや米国は今もエリートの存在を是とする社会だが、日本は戦後改革で「平等重視」が過剰となり、エリートの存在は迷惑という考え方が培われた。」と。外交に関しては、中国韓国とは手を取り合ってなどと云っても、極端な歴史観の彼らと歩調が合うはずがないと。同じ民主党でも先の首相:鳩山、菅両氏と違い、野田首相は歴史的思考法と国家観を持っているように見えるという。原発事故関連政府ゥ委員会は重要な対策を次々に打ち出したのにもかかわらず、後世の正当性検証に必要な議事録を全くといってよいほどに残さなかった。明治天皇暗殺計画があったとされる大逆事件では、証人尋問もない非公開裁判(大審院、今の最高裁)の末、幸徳秋水ら24名が死刑判決を受けたが、検察側証拠は一切が破棄され、今日に至るも真実の検証は不能である。僅かに残る刑死者の日記や手紙などの傍証からは、でっち上げ事件という線が強いとされている。原発事故当時の首相(菅氏)が、国家100年の計につながる思想を持っていなかったと云われても仕方がない。
- 2/7は元マレーシア首相マハティール・モハマド氏であった。「ルック・イースト」の主唱者である。「政策実行には3-4年が必要で、1-2年で交替するようでは指導者は育たない。国民はせっかちに成果を求めると貰いが少なくなると知らねばならぬ。」氏は22年首相を務めた。我が国は首相公選制とか、アメリカ大統領並みの権限の付与とか、国会権限の制限とかとにかく強い政権樹立のための憲法改正が必要だと私は思う。2/8の長谷川経済同友会代表幹事も同じ筋合いの主張だった。機会の平等は必要だが、結果の平等を求めすぎていると云った。
- 2/10は有馬元東大総長で、官僚の有効活用を唱えた。判ってはおりながら、国民が官僚に対しもう一つ及び腰なのは、本能的に、上に行くほど純粋化し偏向して行くことに不安を感じているためでもある。官僚の世界では東大出身者が上を独占しているが、民間各社の社長の出身大学を見ても判るように、民間機関にはあり得ない状況だ。また本になっているほどに、官界では「理科系冷遇」が浸透しているが、民間にもこの傾向があるとは云え、極端に技術系の上に文系があぐらを?いているようではない。有馬さんは強力な原発推進論者で原子力行政に多大の影響を及ぼした。その過去には触れられていなかった。
('12/02/29)