八月の摘要

リビアの反体制派が首都トリポリを制圧した。30日時点では、まだ40年間の独裁者・カダフィ大佐と政府要職者の拘束には成功していない。
NHK、読売の世論調査では菅内閣支持率はともに18%で、史上最低だった。後者では政党支持率が5割を切っていた。脱原発には高い支持がある。菅首相は民主党代表を26日辞任した。8/23前原誠司元代表が立候補を言明した。26日小沢元代表が海江田氏支持を表明した。5候補の内、財政健全化に増税を唱えてたのは野田氏だけである。小沢氏党員資格停止継続は前原氏だけだ。菅首相は、ねじれ国会の中、与党内に多数の反体制派(小沢派、鳩山派)を抱え、国民の夢である強いリーダーシップと素早い実行は実現できなかった。大震災後の処置、福祉と結びつけた消費増税案、自然エネルギー法案など、この劣悪な政治環境の中でまずはよくやったと思う。国民からは、小沢氏は巨額の銭疑惑で、鳩山氏は対米外交失策で、ともにレッドに近いイエロー・カードを渡された存在なのに、いまだに彼らの陣笠モドキの行動をする民主党議員が120名はいるという。主に次選挙当選が最大目標のチルドレンたちらしい。
29日の民主党代表選挙では、海江田氏と野田氏の決戦投票となり、177:215で後者が勝った。野田氏は第1回投票における前原、鹿野両派を入れた2,3,4位連合により海江田氏、馬淵氏の1,5位連合軍を抑えた。事前の読売の世論調査では、前原氏が全体のほぼ半数、民主党支持者の2/3の支持を得ていた。このようなねじれは首相直接選挙制でなければ解消できない。日本国民はすでに政治的に充分成熟している。代議士による間接政治は出来る限り減らす方向にしたい。
30日野田新首相が誕生した。民主党幹事長は興石氏、政調会長に前原氏、国会対策委員長に平野氏が就く。野田氏の紹介記事が紙面を賑わせている。地盤、看板、鞄から縁遠い庶民派と受け取られている。JR駅前でのつじ立ち街頭演説は何年も続いた。松下政経塾第1期生。選挙区(衆院地方)は船橋市の千葉県4区で、4回連続当選を果たしている。1票の高知3区との比較での格差が2.35倍と非常に大きい地区である。
東北電力の電力使用量が気温とともに急増し、能力の95%以上に達している。東電は170万kwの応援をしている。東電4〜6月期連結決算は、6000億円弱の赤字となる。
8/11の読売に復興政策に対する総合的提案が出た。かなりの紙面を使った意欲的な内容である。前日に菅首相が退陣を明言したので、good timingと考えたのであろう。復興財源を現世代が受け持ちツケとして子孫に残さない、原発再開による電力不足危機からの脱出という提案は賛成だ。だが基本思考が弱い。基本とは国税を使って住居を元通りとしても雇用がついてこないことだ。東北地方だけでなく、日本全体の産業が日本脱出を考え、一部は実行に移っている。戦後の復興を振り返ってみよう。掘っ立て小屋に住まいながら明日の道を模索した。読売の提案では今日の老人たちの生活に力が入っていて、明日の特に若者の働き口を後回しにしている。20兆円かかっても良い。だが全額を企業誘致に使へというぐらいの覇気を示すべきであった。それから被災地住民への呼びかけも大切だ。被災地からの声は、ほとんどが「大きな政府」を希望する声で、何事も国の責任と国税でと自主性を疑うような報道が多い。我らtax payerはそれを望んでいない。
8/14の読売に福島原発事故の被害漁民の談話が出ていた。原発漁業補償金は莫大だった。第一原発7,8号機増設の時には1人あたり数千万円が支払われたとある。社長退職金並みだ。普通のサラリーマンでは、同じ会社に生涯勤めても、手に入れられない一時金である。最初からの累計の補償金がどの程度かは判らないが、手こぎ漁船から大型漁船となり、家屋は新築されたという。無人となった被害地の映像をTVで見たが、立派な家屋が並んでいるのを見て、そんなにリッチな町村であったのかと思ったことがある。それらは結局は我らの負担の下に、人為的に作られたものだったことに複雑な思いがする。
敗戦記念日の特集番組の中で、8/14のNHK SPの「円の戦争」は特筆ものだった。開戦前すでに外貨が底をつき石油、鉄鉱石輸入代金を金で支払っている。関東軍と朝鮮銀行の戦費調達に関するもたれ合い機構は、暴走の根源だった。朝銀の円は日本銀行の円と1:1で兌換できる建前と、朝銀の紙幣発行権を悪用して、戦費を日本の財政と無関係に調達するのである。中国戦争拡大後の占領地域では中支では横浜正金銀行が、北支では朝銀が、南方では新たな南方開発金庫が、土地の傀儡政権銀行と預け合い契約を結び、彼らが現地円を無制限に日本軍に貸し与える方法で、軍費を現地調達させる方法を編み出した。預け合いとは軍に貸したお金を契約銀行が保証することだが、傀儡政権に日本円がわたることはなく借金した形になる。
昭和11年の対中戦開始から敗戦までの8年間に約7600億円(現在価値で約300兆円)が戦費に消費され、そのうち現地調達が4割を占めたという。昭和19年では日本予算の85%が戦費だった。このNHK SPに限らず、「日本が勝てるはずがない、やれば破綻すると予想した」と証言する、当時中間管理職的立場にあった人々が山のように出てくるのにもかかわらず、トップは開戦に踏み切った。そして(上ご一人をはじめとして)誰も決して責任を取ろうとしなかったし、個々の負け戦に対して責任を追及しようともしなかったことに、持って行きようのない腹立たしさを感じる。
8/18北海道泊原発の営業運転再開を知事が認可した。東北電力への応援が楽になった。現在もっとも発電量不足で困っている関電に対して、福井県が安全を錦の御旗に原発再開を認めない。停止中の原発への課税だけは迅速に決定した県民性を疑う。全国の火力発電所が次々に運転中止している。従来補助的に使われてきた火力が、主力連続になったために無理が生じているようだ。8/23再生エネルギー法案が衆議院を通過した。大口消費産業はコストアップ分の8割を軽減してもらえる。
円高がとまらない。19日のNYで75.95円を記録した。マネーから見て、ドルやユーロより円が安全と見られている。これまでの新聞では、突出した日本政府の負債額は円の破綻が近いような議論が主流であったのに、その逆である。新聞の論調を支えてきた経済学者とか経済評論家が二流、三流であったと知る。金の価格上昇も記録的で、5千円/gに迫っている。金保有量はアメリカが断トツで8千トンを超すのに対し日本はわずか765トンである。ドイツは3400トンあまりで、第2位、イタリアですら2500トンに近い。外貨準備高は日本は1兆ドルに近く、ドイツは1400億ドルを割る。金とドルのバランスに目配りしないと大損の憂き目にあう。
政府・日銀は円売り・ドル買いの為替介入と金融緩和を同時に実施した。為替相場は80円台に戻った。しかし相場は2日のちには78円台に戻ってきている。産業界は80-85円を基準にしてきただけに、海外脱出の流れは止まりそうにない。浜矩子:「「通貨」を知れば世界が読める〜"1ドル50円時代"は何をもたらすのか?〜」、PHPビジネス新書(本HP:「世界の通貨」)の見通しは今のところ当たっている。浜教授は8/7の毎日への寄稿で、日本は今や若き新興諸国を意識せず、イギリスとかイタリアといった老楽国家を目指すべきだと云った。浜先生は、老「楽」は安定経済、健全財政、安全社会が前提で、今のような株価暴落、企業海外脱出加速、失業率増加の先は老「苦」であると付け加えるべきであった。
米格付け大手S&Pは米国債格付けをAAAからAA+に1段階下げた。債務上限引き上げ法により、米国債の債務不履行(デフォルト)は期限当日になって回避されたが、財政再建策が不充分と判定された。ムーディーズは23日日本国債を4段目のAa3に下げた。
京大・斉藤教授らのグループは、ラットのiPS/ES細胞から精子を造り、人工授精により成体のラットを作ることに成功した。iPS/ES細胞から始原生殖細胞を得、それを生殖能力を持たない精巣に移植し精子を得る。自然の卵子に顕微授精させてのち、受精卵を仮親のメスの子宮に移植し正常な子を得た。「子孫を残す」過程は生体の営みの中でもっとも複雑で、その人工的再現は画期的と云える。
パリでの世界柔道で、はじめの2日間に日本は金5個を得たが、その後中重量級になるに従い成績は尻すぼみになった。韓国・大邱における陸上世界選手権大会で、室伏選手が男子ハンマー投げで金メダルを得た。
人気のTVタレント・島田紳助が、暴力団との交際が明るみに出たのを理由に、突然引退した。放送内容に対する右翼の脅しを収めるのに、暴力団の手を借りたのが発端という。

('11/09/01)