Facebook
- 小川浩:「仕事で使える!Facebook超入門」、青春出版社、'11を読む。インターネットが大衆化して、個人が当たり前に情報手段として利用するようになった。スタイルも起承転結のあるHPから、情報交換的なBlogになり、さらに進んでつぶやきのTwitterになった。最近のチュニジア、エジプトの無血革命で、俄然注目されだしたのがFacebookだ。発信者の顔の見える伝言手段という。本書は革命には触れぬ仕事対称の本である。でも特徴をまんべんに知る目的なら、革命に重心がない方がいい。私はこのHPの目次を見ても分かるとおり、17-8年になるHP派で、今更その他の手立てに、情報伝達手段を転換するはずはない。それでも本法に興味はあるのだ。
- 匿名型のソーシャルネットワークサービス(Social Network Service、以下SNS)では流言飛語中傷風評何でもござれだ。無責任でも価値ある情報や発言が含まれる場合もあるから、一概に否定すべきではない。開放的で成熟した社会では存在価値が高く評価されていて、利用者も幅広い。でも多忙を極める現代人が真偽の識別された情報を願うとき、まずは発信者の信頼性に頼るであろう。日本発の非匿名型SNSにmixiやGREEがある。共にFacebookと同じ'04年に業務を開始している。前者は会員数2200万、後者もほぼ同じだろう。Facebookは300万ほどで日本内では立ち遅れているらしい。会員は個人情報を登録し、会員相互のコミュニケーションを行う非公開ネットワークである。会員は他との交信拒否権を持つ。少し込み入った議論を、学会などよりは幅広い席で戦わすような場合にはいいようだ。むかしインターネットの黎明期にパソコン通信というSNSがプロバイダーにあって、いろんな会員制の会議室が設けられていた。私はその一つに入っていたが、ニックネーム可、個人情報の閲覧不可、交信拒否権なしであったから結構中傷もあった。
- Facebookはハーバード大学学生が日常のface to faceの議論と会話を、SNSでもやれるようにすれば便利だとでもいった発想から生まれたようだ。顔見知りで本名はもちろんかなり個人的に知り合っている仲間のSNSだ。嫌な相手とは話さない。微妙な話は信頼できる仲間でなければ出来ない。独裁国家で秘密警察が身辺を嗅ぎ回っているような状況を想像しよう。彼らは巧みに身分や目的を偽ってFacebookに登録してくるだろう。だが登録者の特定可能なシステムであればスパイの割り出しが出来る。秘密警察側に立ってSNSの威力を削ぐ方法を考えると、スパイを潜らせる以外にサーバーを押さえる手がある。この方が手っ取り早く効果が高い。でも国外サーバーではそれが出来ない。そのときは海外との交信手段に制限を付ける。中国がやっているようにというコメントを付けねばならぬのは残念だ。衛星通信はコスト的にまだ大衆の手からは遠い存在だ。
- Twitterはたちまちに世界に広がり定着した。無責任性、感覚性が承けたのだろう。Facebookは責任性、論理性が売りだ。速報性は共通の武器だ。著者はFacebookが1-2年のうちに日本でもmixiの水準に達すると踏んでいる。ここにいたって両者は互いに相手の特徴を取り入れ始めた。Facebookではファンページを無償で提供している。TV局TBSのtbsnewsがその例に出ているのでその画面を出してみた。ニュースにボタンが3個付いている。「いいね!」ボタンあるいは「コメントする」ボタンを押すとログイン画面が出てきて、未登録者は登録すればTBSテレビ報道局と繋がると教えてくれる。3つめは「share」ボタンで、登録者のコンテンツ共有に関するものらしい。見るだけなら誰でも結構、詳しい話は登録者でという形式のようだ。芸能人が開くファンページが受けているという。製品販売広告にも活用されている。FacebookやTwitterの発展にGoogleは警戒の色を隠さない。Googleは検索力がいのちなのに、彼らの非公開情報網に潜り込めるわけがないからだ。Facebookには6億に近い契約者がおり、検索数はついにGoogleを追い越した。売り上げ高はGoogleの1.9兆円に対し、まだ1600億円と低いが、膨大な契約数がいずれものをいうと著者は考える。
- FacebookにHPを持つ方法が載っている。仲間が25人いたら出来るのだという。私は以前はこのHPに投稿欄を設けていた。何度か読者と交信しあってのち、次第に議論が面倒になって投稿欄を外してしまった。FacebookのHPは無償だし、検索も増すから魅力はあるが、面倒も復活すると思うとなんだか気が進まない。mixiやGREEでなら「日記」機能がこれに当たる。前者のWikipediaのページには利用者の年齢層が出ている。大半が若人で、我々年代はごく限られているようだ。そこの過去のトラブルについての記述はSNS共通のものであろう。匿名性を排除しようとしても最後は登録者の良心次第であるから、悪意のあるなりすましは避けられない。登録には厳密な身分証明を必要とするシステムにすれば、この心配は少しは軽減できようが、民間会社では容易には実施できない。だが例えば登録者の任意事項に、自動車運転免許書による証明済みという欄を作って、掲載するようにしたら抜群の効果を収めるであろうと思う。個人情報が関係メンバーに公開されるから、身元が特定されやすい。それが暴露被害のもとになる。
- Facebookは実名による参加が基本であり、結果的に居住地域や誕生日、性別、学歴、勤務先など、非常に細密な個人情報を登録している会員が多いとある。それはmixiやGREEなどの国産のSNSとは比べ物にならないぐらいだという。企業がバナー広告をターゲットを絞って出すときにこれらのデータは有用だ。ファンページ開設の意義はそこにもある。訪問者の解析にそれらのデータのいくつかを使うインサイトというツールが準備されている。
- 本書の表題が「仕事に使える!・・・」だからであろう、そのhow toの伝授にかなりのページを割いている。著者はネット産業を飯の種にするヒトだから、Facebookだけでなくあらゆるネットワークがまさに仕事を繁盛させるお道具である。真剣に打ち込んできただけ具体的なアドバイスが出来ている。まずは登録を済ませ自分のプロフィルを公開する。25名以上のお友達が出来たらファンページ開設へと進む。プロフィルには出来るだけ具体的に詳しくと云うが、セキュリティ上住所は載せないといった注意が書かれている。具体例に学歴の効用があげてある。確かに同窓の誼はきっかけになる。学閥はもう昔語りになったが、歴史の長い学校、マンモス校などは実力以上に有利と云うことか。政治の世界ではハーバード大卒には世界的な輪があるという記事を昔読んだが、同じようなことだろう。'10年にすでにアメリカではSocial Marketing MediaといえばFacebookだったが、日本ではTwitterと何かの組み合わせであったと述懐している。
- 飲食店のHPを見る機会があった。一つは亀戸の割烹・升本、もう一つは京都の著名料理店・たん熊だ。どちらにもいいね!ボタンやつぶやくボタンが貼ってある。ほか後者にはmixiやGREEのボタンその他もあった。情報集めやマーケッティングの手段に有効に活用されているようだ。前回の米国大統領選挙においてオバマ陣営の取ったメディア対策は見事であった。マスメディアと本書主題のソシアルメディアを上手に使い分けた。ネット経由で対抗候補の10倍に当たる5億ドルの献金をかち獲った。その基本がターゲッティング広告とソーシアルメディアミックスであるらしい。どの状態にいても支持者はオバマと繋がるように工夫した。メディア双方の連携は性質が違うだけ上手に扱えば効果的だ。マスメディアによるマーケッティングは短期間のキャンペーンに向くが、ソーシアルメディアのそれは長期的なブランディングにいいという。
- 筆者の経営する会社はソーシアルメディア媒体の広告代理店で、まだベンチャービジネス・クラスのようだ。最後に日本人技術者がFacebookほかより10年も前に類似事業に着手していた、著者もその中にいたことが紹介されている。
('11/05/14)