千葉国体新体操

千葉国体の体操競技が千葉ポートアリーナで開かれた。最後の2日間に新体操が割当てられていた。その観戦に出かけた。TVでオリンピックやW-杯などの体操競技を見たことはある。だが、体操競技をこの目で直に見るのは初めてであった。国体に出かけるのも実は初めてであった。
初日には個人競技が行われた。中高生の少年女子だけだ。エントリーしたのは全都道府県ではなく半数ぐらいだった。団体競技になるとさらに少ない。少年男子や青年の部は国体競技としては開かれていない。競技人口はそれほど広くないのだろう。都道府県各チームごとにロープ、フープ、ボール、リボン各1名の選手を出す。千葉県のチームは7番目だった。華やかなレオタードは、ガラスビーズの輝きに包まれている。ロープは衣装に合わせた黄色で、蛍光染料で染めたらしく放り上げた暗がりの中にくっきりと見えた。リボンだけは22点台だったが、あとは23点台を出した。技の優劣や難易度、演技の芸術性とか美しさなどは、3段階評価程度でなら素人でも分かるものである。我々が入ったときは東京都のチームが演技をしていたが、最高が22点台だった。それ以降はもっと成績が落ちていたから、23点台は高得点だ。千葉県が終わってから帰宅した。回廊には準備中の選手が何組かいた。皆スマートで何よりも若々しかった。
2:45に電光掲示板に女王殿下来場が表示された。女王殿下とは三笠宮家の瑶子女王であったと思う。市長がその前に来賓席から消えたので、別会場に回ったのかと思っていたら、女王殿下を案内してきた。殿下は小柄な女性であった。会場は拍手で迎えた。昔なら総員起立、敬礼ぐらいの号令がでただろう。彼女は、隣のおそらく解説担当だったらしい人物と会話を交わしている風はなく、静かな観戦ぶりであった。千葉県選手のロープ演技を見てから退場された。
電光掲示板では事細かに注意事項を映し出していた。飛行場ほど厳格ではなかったが、入場には所持品検査を受ける必要があった。体操演技だけだったらそこまでせずとも良いと思ったが、どうやら女王殿下観察にレンズが向けられるのを恐れたからだろう。家内は双眼鏡を使ってはならぬと申し渡されたそうだ。第2日目には皇室席はなくなっていた。第1日目のような入場前持ち物検査はなかった。やはり宮様警護が目的であったらしい。電光掲示板にもオペラグラスはダメだとか動画撮影はいけないとか事やかましい禁止条項はでておらず、携帯のコール音に対する規制だけがでていた。
大勢の役員やボランティアが手際よく会場を運営していた。民主主義、個人主義の浸透は、一糸乱れぬ統制などを夢のまた夢としてしまったが、混乱遅延の未然防止に心を合わせている姿は、近頃あまり見なくなった風景で、好ましく思った。競技結果の速報、パンフレット配布、飲料の無料サービスなども用意周到だった。貰った団扇で、国体競技にボーリングが入っていることを初めて知った。
アリーナ近くでアメリカノウゼンカズラを見た。近所にはこの木はない。葉が奇数対生の小葉からなる複葉だから、奇数羽状複葉という。小葉は鋸状の切り込みが入った葉だ。赤橙色の散形花序の花が一面に咲いていた。つる性植物(木本)で、金網の塀に沿って数mほどの高さになっている。前日まで蕾状態だったのに、まるで新体操の日に合わせたように、キンモクセイが一斉に花を開き、かぐわしい香りを漂わせている。気になって、散歩がてら、記憶にあるキンモクセイの木を尋ね歩いた。その数数本。やっぱり花を付けたばかりという風情であった。キンモクセイはサクラのソメイヨシノのようなクローン植物ではない(と思っていた)のに、こうも開花の時期をそろえて咲くとは特異的だ。確かに同時に咲けば受精の効率は高くなる。それにしてもすばらしいと思う。(追記:念のために、調べてみた。驚いたことに日本のキンモクセイは雄木ばかりという。原産地の中国からは雌木が渡来しなかった。もしも渡来が1本だけだったのなら日本のキンモクセイは全部互いにクローンだと言うことになる。)
2日目は近くのスーパーの駐車場に車を止めて千葉ポートアリーナに入った。新体操団体戦が午後から始まるので正午の少し前に入場した。暑さが前日ほどではなかったせいか、無料ドリンクサービスは暇そうであった。第1日目は日曜日だったからだろう、観戦者数は観覧席の8割ほどを埋めていた。第2日目はそれでも千葉がでる頃には7割ほどになった。演技開始前に審判員の紹介があった。1組4名の審判班が何組かあって、各班はそれぞれ専門の採点対象を持っているらしい。あとで調べてみた。2009年ルールでは最高得点がジュニアでは28.5点だと書いてあった。線審2名、他に審判長とかコーディネーターとかの役員を加えると20数名はいる。
千葉チームは5番目に演技を行った。団体競技は個人競技ほどには優劣がはっきりしない。はじめの方で失敗があったらしいことは分かった。だがコート一杯にのびのびと演技したのは良かった。選手が大柄で、見栄えした。千葉応援席が審判団の向かいにあって、2-300人が声援を送っていた。他県選手にも入場時には拍手を贈っていたから、ホスト県の応援としては合格であろう。採点はかろうじて23点台に載った。順位は個人と団体の合計で争われ千葉が優勝した。団体は4位であったが、個人は4種目ともトップだったと翌日知った。

('10/10/05)