九月概括U
- 9/24の毎日の論点に食糧自給率を考えると言う題の3者の主張が載った。その1人浅川氏は本HP「農業大国日本」に紹介されている。日本の生産額ベースの自給率は70%と高い。カロリーベースは意味がないと強調する。1人あたりの農産物輸入高は英独仏の半分、農家減少も先進国共通で、ヨーロッパ並みという。やたらなばらまきと価格維持で国民に負担を強い、農業の国際競争力を削いでいる。舟山氏は北海道出身の前の農水政務官で、農水省出身の元官僚だ。カロリーベースの自給率を50%に上げよ、そのために戸別補償を推進せよと農水省官僚伝統の保護主義的発言に終始している。
- 東大教授の本間氏は、自給率は鉦や太鼓で向上するものではなくて、消費者の選択の結果だとする。国産小麦では、讃岐うどんにさえならない例が示されている。私は戦中は自給率が100%だった理由を考える。穀類、豆類、芋類などの生産がほとんどで、消費者の生きるための食料というニーズに応えた生産であった。農水省が脅すような食料調達不能の時期が来れば、自ずと儲かる対象はカロリーの高い食料に変わると思う。生産性の低い非能率の趣味的農家を早く整理して、若者がUターンの魅力に惹かれる、近代的農業を育てよう。翌日の読売の社説は、農業の大規模化国際化と生産性向上に逆行するとして、戸別補償に反対した。
- 気象庁は今夏の平均気温が平年より1.64℃高く、明治31年統計開始以来の最高値であったと発表した。特に8月は平年を2.25℃上回る暑さであった。今夏の猛暑日は71日を数え、記録となった。
- 「栃若時代」を創り、「土俵の鬼」の異名を取った初代若乃花が82歳で永眠した。月末に女優・池内淳子が死去した。端整な存在感のある名優であった。世界柔道選手権東京大会の男子100kg超級で上川、100kg級で穴井、73kgで秋本、66kgで森下の各選手が優勝、女子48kg級で浅見、52kgで西田、57kgで松本、63kgで上野、78kg超級と無差別級に杉本の各選手が優勝した。レスリング世界選手権モスクワ大会で女子の坂本、伊調、吉田の3選手が金メダルを獲得した。イチローが9/24世界記録の連続10年200安打を達成した。大相撲秋場所を白鵬が8回目の全勝優勝を遂げた。双葉山、大鵬に並ぶ。連勝記録は62勝となり、歴代第2位に上った。ソフトバンクがパ・リーグを制した。
- 新型耐性菌がインド帰りの発熱男性患者から見つかった。ほとんどの抗生物質が効かない大腸菌である。患者は様態が回復し、その後の血液検査では耐性菌は検出されていない。世界のこの菌の感染者の多くはインド、パキスタンへの渡航歴や入院歴を持つ。接触感染により広がる。医療関係者を通じて広がる可能性が高い。正確には分からないが、帝京大病院から感染が広がった模様。関係医師の意識の低さが問題になっている。帝京大病院の院内感染による死者が27名と発表された。
- 日本脂質栄養学会が「コレステロール値は高めが長生きでよい」とする指針をまとめた。日本動脈硬化学会の従来常識を覆している。浜六郎:「コレステロールに薬はいらない!」、角川ONEテーマ21、'06(本HP:「コレステロール」)の主張が認められ出した。近畿大で成功したマグロ完全養殖法が豊田通商とのタイアップで実用化される。国産GPS衛星「みちびき」が打ち上げられた。H12Aロケットは連続12回の成功で、欧米と肩を並べた。米国GPSシステムを補完して、測定精度を1桁以上上げる。あと2基の打ち上げで24時間をカバーできる。8の字軌道の準天頂衛星。
- 9/13のNHK「クローズアップ現代」は暗黒物質(本HPの「銀河物理学」、「宇宙の未解決問題」)を取り上げた。飛騨の地下1000mに、この未知の素粒子の質量を測定する装置が完成しようとしている。世界の20ヶ所からある研究所の中で、もっとも高感度で、最初の発見者という栄誉を担うだろうと言っていた。不活性のキセノンにその素粒子がぶつかるとかすかに発光する。それをカミオカンデで開発した世界一の光電管で受け止めるという原理だそうだ。
- 9/8のNHK「クローズアップ現代」は奨学金未返済問題を取り上げた。我々には日本育英会の方が通りがいいが、日本学生支援機構への返済が滞り、通常の債務処理手段で追い込まれている卒業生をレポートした。私は高校時代から育英金を借りはじめ、おかげで親の支援を一切受けずに学業を修了できた。それどころか、その何割かは親を通して数多かった弟妹の資金に回った。結婚後も払い続け、結局完済に20年ほどかけたと記憶する。比較にならぬほどに豊かな時代になった。大学を出るまでに500万円ほどもの資金を借りることが出来る。実力不相応の借金が「大」企業に就職できなかった卒業生の首を絞めている。「大」と入れたのは、中小だったら求人倍率は最悪の今年でも4-5倍だからだ。農業漁業など一次産業だったらもっと引く手数多のはずだ。出演の北海道大教授は、実力を超えた人生設計の非を捉えずに、先進国では給付型が主で、返済を求めないのが奨学金だと「日本の遅れ」を非難した。私はまたかと思った。国家財政が危機に瀕している現状で、どの部門を削って資金を調達しようというのか。奨学金制度は民族の歴史、文化と深い関わりがある。他国にも光と影がある。その都合のいい一角だけを切り取って、我々の文化を見下ろすような態度は好きでない。
- 新司法試験合格率が過去最低の25%に下がった。年々低下の傾向が停まらない。かろうじて半数合格を果たした大学院は東大、慶応、京大、一橋の4校にとどまった。
- 厚生労働省元局長、村木厚子被告の一審判決は無罪であった。村木氏は内閣府政策統括官として復帰。検察の取り調べを受けた関係者が、ことごとく、法廷で検事の作文として調書内容を否定し、検事側が無視した不都合証言の物証が提出され、検察側は完敗した。特捜部の犯罪ストーリー前提の捜査が厳しく批判されている。証人の一人はTVインタビューで、特高もどきの取り調べを非難した。検察は上告を断念した。最高検は9/21大阪地検特捜部主任検事を事件に関するFDデータ改ざんの疑いで逮捕した。自供でっち上げから証拠改ざんまで出るようでは、第三者機関による検察行動監視が必要になる。26日のNHKでの討論会で、オーム真理教のサリン事件で名をはせた江川氏が同様の主旨の発言をした。しかし同席の弁護士からは、1人はえん罪問題で今注目の人であり、1人は元特捜の検事であったが、賛同の声を聞けなかった。司法の仲間意識がくさいものに蓋をしていると感じた。
- 世界経済フォーラムは9日国際競争力比較を発表した。大型先進国では米、独に次いで日本は第3位で、小国を入れても第6位だった。為替レートは83円台を維持し、相対的に見た日本の実力が、マスコミを賑わす悲観論とは対照的な位置にあることを実証している。先進国全体が大不況の中にあり、その中での日本がどうかという視点がマスコミにも政治家にも不足しているように感じる。
- 日本振興銀行が破綻し、日本で初めての1000万円以下補償のペイオフが実施される。破綻の原因はトップの銀行法無視の粉飾を伴う拡大戦略にある。消費者金融の大手・武富士が更正法適用の申請をする。
- 9/15政府は2兆円を超える規模の電撃的為替介入を行った。ドルは82円台から85円台まで値上がりした。突然の介入を市場は予期していなかったようで、一時的な効果は得られたと思われる。単独介入だったため効果は限定的だろうが、市場への警告としては十分だった。「クローズアップ現代」は欧米が自国通貨の値下がりを容認する理由を纏めていた。9/28再び相場は83円台へ。
('10/09/30)