USBメモリー

散歩で量販店に立ち寄った。何となくUSBメモリーを買ってしまった。少しそれで遊んで、今度は「USBメモリー徹底活用技」、技術評論社、'09というハウツー本(以下本書と書く)を買った。何となくとは書いたが、ぼんやりとした使い道は頭にあった。旅のお供と無線LANネットワーク・トラブル時のデータ運搬手段である。
もうラップトップ型PCを下げて歩くのが嫌になっていた。たいていのホテルに公共PCが設置されている。クルーズ船にもPC室があって乗客に開放されている。私のPCの1台は思いの外に早く寿命が来た。買って3-4年は事無かったが、やがて夏場に電源が落ちるトラブルが続くようになった。原因は定かではないが、クルーズ船に載せた時間が長かったから、潮風が劣化を早めたのかもしれないし、宅配便で出し入れしているときの機械的な衝撃があったのかもしれない。USBメモリーで用が足せるなら、例え壊れても被害は軽微である。
公共PCにはOSは入っているが、それ以上は自前で用意せねばならない。本書に「ソフトをUSBメモリーに入れて持ち歩く」と言う章がある。メール・ソフト、Webブラウザ、画像加工ソフト、スケジュール・ソフト、PDF閲覧ソフト、Office互換ソフトなど便利そうなソフトが並べてある。本書のソフトはほとんどがフリー・ソフトだ。そのなかからOffice互換ソフトのOpenOfficePortableを選び、USBメモリーにインストールしてみた。80何MBのそう大きなソフトではないのに、いろいろ入っている。私は長年ワープロに一太郎系を使ってきた。一太郎系にもPortableなフリーソフトは無いか探した。閲覧用は出ているが、文作成用はなかった。しかし一太郎ソフトはWordとcompatibleなのであまり気にしなくてもよい。三四郎とか花子に相当するソフトも入っている。Mathにはちょっとした数学記号が準備されている。外では日本語辞書にはOS付属のものを使うのだろう。データの同期法が載っている。家のPCとUSBメモリーのデータをいつも同じにしておく。日記などをこまめに書く人にとっては便利な方法で、そのためのフリー・ソフトが天下に流通している。
このHPの「5代目のパソコン」に私のPC環境を述べた。PC全体の、あるいは各ソフトそれぞれの安全対策が進歩するのはいいのだけれども、時折互いが「喧嘩」するのか、たとえばフッと無線LANが共通ソフトを認識できなくなったりする。そんなときの用心にUSBメモリーはもってこいである。買ったときはそれが頭を占めていた。だが緊急出動用の予備PCにどれほど使えるか。このパソコンはNECのPC9821と言う古いやつで、プレインストールのWin95をWin98にグレードアップしていた。もうCDドライバーが壊れていて、それを修理するぐらいなら、新品のPCを買った方が安上がりだと言われた品物である。でも購入当時では先端的で、規格が出来たばかりのUSB1.0端子の2穴を裏面に取り付けていた。
遅まきながらUSBメモリーのスペックを調べてみる。対応OSはWin2000以上、端子はUSB2.0/USB1.1、容量は4GBだ。WindowsもUSB規格もUSBメモリー・メーカー保証のヴァージョン以下だ。でもハイバージョン部品はたいていはローバージョン設備で少々の機能低下を我慢すれば動けるようになっている。だが、容量4GBは越えられない壁である。PC9821のHDDはFAT16でパーティションを切り、最大認識容量が2GBだ。Win98のマニュアルにFAT32へ変換するための方法が記述してある。でも歴史のあるPCである。変換条件に引っかかりそうな条項がある。サードパーティの古いアプリケーション、圧縮済みのドライブはその最たるものだ。逆にUSBメモリーのパーティションを2GB+2GBにする手がある。
インターネットから「USB分割」で検索してみると、fdiskを用いる方法などの紹介がしてあった。Win7なら<アクセサリー>の<コマンドプロプト>からdiskpartと打ち込めばよいのだろう。diskpartはfdiskの後継コマンドだ。だがWinXPでは分割できないという記事もあったし、特別のソフトがダウンロードできるようなことも記載されていた。いずれにせよ今USBにあるファイルは、一旦待避せねばならないのが面倒だ。結局めんどくさがり屋の私は、本当にニーズが差し迫るまで何もしないことにした。ニーズが来たら、その頃には今のメモリーはいっぱいに使っているだろうから、たぶん2GBの新しいメモリーを買うであろうとも思った。
フラッシュメモリーだからデータのやりとりは高速だろうと漠然と考えていた。だがOpenOfficePortableを立ち上げるときに気付いたのであるが、現代のIT機器では高速の部類に入らない。本書の付録にあるカタログでは最速でも38Mbit/sとなっている。普通の高速は30程度のようだ。USB2.0の最大データ転送速度は480Mbit/sだそうだ。だからこちらがネックになることはない。我が家の光ファイバーの実効転送速度は30~50Mbit/s、HDDのそれは40~60Mbit/sぐらいだ。感覚的にはこれらの数字は実態とマッチしている。本書の最後に、先述のPC9821には直接は応用できそうもないのが残念だが、USBメモリーからWindowsを起動する方法が述べられている。WinXPで起動に20~40分もかかると言う。USBは大容量のファイルを扱う仕事には向いていない。USBメモリーは軽便が第1だ。持ち歩けるのが最大のメリットである。買ったSonyの品には「キチッと秘密ファイルロック」というソフトが付いている。Explorerの画面で、ドラッグ&ドロップすれば、ファイルの暗号化と復帰が出来る。簡単で所要時間も短い。メモリーを紛失したときの用心に、重宝できそうだ。

('10/06/09)