六月概括
- メキシコ湾海底1.5kmでの4/20以来の原油海中噴出が止まらない。流出原油はアメリカ南岸を幅広く汚染し、住民の政府批判の声が高まっている。掘削権者の英石油メジャーBP社が対策を講じているが、8月まで流出は続くだろうという。BPの負担は最終的には数兆円に上ると予想されている。
- 5/31に、トルコのキプロスから1万トンのガザ支援物資を運んでいたパレスチナ支援団体の船団が公海上でイスラエル軍の強襲を受け、船団側に多数の死傷者を出した。イスラエル軍側に被害はなかった。国連安保理は非難声明を出したが、アメリカの反対でイスラエルを名指しできなかった。
- 中台が6/29自由貿易協定(FTA)を結び、800項目の関税を撤廃した。
- 国の子ども手当1.3万円の支給が始まった。総額2.3兆円。来年から倍増されるという。橋下大阪府知事はTVインタビューで、「赤字国債を発行したうえでの現金給付は間違っている」と批判した。これが正常な感覚だと思うが、国会からは与野党いずれからもこの手の発言が聞こえてこない。
- 6/2の正午のニュースで鳩山首相の辞任を知った。党役員は小沢幹事長以下全員が辞表を出すようだ。組閣以来9ヶ月での退陣は小泉内閣以来の3内閣:安倍内閣、福田内閣、麻生内閣とほとんど同じで、日本の内閣は普通の出来では短命を余儀なくさせる仕組みになっていると思わざるを得ない。国家としては明らかに損な体制である。私は一院制に換えるとか、二院制を守るのであれば首相権限を強化し、たとえば参議院解散権を付与するとかしなければ、安定した日本など作りようがないと思う。
- 6/4民主党両院議員総会は菅直人副総理を党代表に選んだ。反小沢派が結集し、親小沢派の樽床伸二氏に対し、291票対129票で勝った。小沢氏シンパの一新会が自由投票を選んだのにもかかわらず、無名に近い樽床氏が思いの他の大量得票であった。任期は9月までのいわば暫定代表である。小沢氏は9月改選期に自派候補を立てると明言した。鳩山氏は民主党イメージの回復を願い、次期選挙に立候補しないと宣言したが、小沢氏は政治家を続行するつもりのようだ。民主党に派閥はなかったはずだが、どうやらここに来て復活しそうだ。今後マスコミはいやでも所属派を書かざるを得ないであろう。選挙民もそれを望んでいる。TVで党中党という表現が出た。6/9の読売は閣僚紹介に所属グループ名を入れた。我が県は代表が生方幸夫氏で、反小沢派だ。副代表の黒田雄氏と選対委員長の岡島一正氏は小沢派だ。参議院選挙立候補予定の2人は公募で選ばれたが、小沢派かどうかは不明。
- 6/8菅新内閣の顔ぶれが決まった。11閣僚は再任で、官房に仙谷氏、財務に野田氏とあった。1年生議員ながら仕分け人として注目を浴びた蓮舫氏が行政刷新相に就任する。復活の党政策調整会長には、公務員制度改革・少子化担当大臣兼務で玄葉氏、注目の幹事長には枝野氏が当たる。菅氏の代表対立候補・樽床氏には国会対策委員長のポストが用意される。前の山岡国会対策委員長も小沢派だが、山岡氏が、TV討論でも見せるように「何を言いたいのか分からない、のらりくらり」に終始して、視聴者を苛立たせるのに対し、樽床氏はすくなくとも代表選挙演説では方向性を打ち出していたから、民主党にとってプラスになる可能性がある。
- 亀井氏が辞任し、自見国民新党幹事長が金融郵政改革相を引き継いだ。参議院選挙に向けて、民主党は財政赤字幅の縮小をうたっているが、亀井氏は鳩山内閣時代に2兆円ほどの補正案に対し、財政出動を提言し菅氏などの反対にもかかわらず、結局7兆以上の補正になった経緯がある。菅首相は就任演説で、それを含めてであろう、近年の財政出動は経済立て直しに役立っていないと総括した。選挙結果への保険の意味で、国民新党を引き留めざるを得ないようだ。未だに郵政民営化の進行を阻止する方向を目指すなど、国民新党は身中の虫になりかかっている。亀井氏は6/19に民主党の消費税政策反対を表明し、菅内閣離脱の可能性を示唆した。選挙結果次第では国民新党を切るのにいい口実になると思われる。
- 毎日新聞の4、5日の世論調査では、民主党支持が前回調査時の17%より28%と大きく回復した。自民党は17%から14%に落ちた。その他の項目では、小沢氏辞任への評価が81%と大きかった。6/9に幹事長引き継ぎが行われたが、政権担当政党の最重要職の交代なのにたったの3分だったという。組閣においても小沢氏は極端に新政権側との接触を嫌ったと報じられている。権力を集中して4畳半的密談で事を決めると言うのが小沢氏の政治手法であることが、今回の交代劇で白日の下にさらされた。
- 国会の会期延長は行われず、7/11参議院選挙が決定した。各党の公約が出そろった。民主と自民がともに消費税の10%アップをうたっている。前回衆議院選挙では民主党マニフェストがきわめて具体的で、政権交代後に民主党はそれを忠実に実行しようとした。従来の政党公約は逃げ道の多い抽象的表現が多く、選挙民も心得ていて景気付け空論程度にしか思っていなかった。公約が実行される伝統が出来れば、選挙民の政治に対する関心の水準がぐんと上がる。小鳩民主党の作ろうとした公約重視姿勢は今後の政権も守ってほしい。6/26の読売に世論調査結果として与党の過半数が微妙だと出た。みんなの党が公明党を押さえて第3党となる可能性が出てきた。
- 6/7のNHK「クローズアップ現代」で検証・口蹄疫をやっていた。英国、台湾で畜産全滅に近い被害が近年に現に起こっており、迅速な処置が蔓延を食い止める唯一の方法であることが分かっている。赤松前農相にはその理解がなかった。交代は当然だ。現在の宮崎県の蔓延圏は、その土地の首長が「畜産農家への補償確約を貰わねば、政府方針を受け入れられない」という、防疫より補償優先の、馬鹿丸出しの発言をした地帯である。迅速だったえびの市は終息した。6/8宮崎県都城市へ口蹄疫が飛び火した。6/29宮崎県は口蹄疫非常事態宣言解除の検討に入った。降り続く梅雨が病原ウィルスを洗浄し、人畜自動車等の移動を制限したために、ワクチン投与の効果と相まって騒動を鎮静化したのではないか。
- 三菱重工が豪華客船造りを復活するという記事が読売に出た。かっての造船王国・日本も今では受注量が韓国の後塵を拝する水準に低下した。高級船で競争に臨むのは正しい選択のように思う。世界のクルーズ人口は毎年4-5%伸びている。ただ我が国だけは、それが減少傾向にある点が気がかりだ。しかも絶対数('08年日本19万、アメリカ930万、カナダ71万、ドイツ91万)が少ない。大衆価格のカジュアル・クラスの船が無いことが災いしている。高齢者が日本の全資産の7割を所持しているという。造船だけではなく、クルーズ産業をも振興して、高齢者の消費意欲を増進して貰いたい。確実な景気向上策になる。
- 経営者の所得が公表されるようになった。最高が日産自動車のゴーン社長で、8.9億円、次がソニーの外人社長で8.2億ほどであった。日本の会社の経営トップの報酬は、新大卒初任給の30-40倍ほどが常識であったが、さらにもう1桁高い報酬にシフトしようとしている。ゴーン社長はインタビューで、世界標準から見ればささやかだと弁解した。報酬格差の付け方はその国の文化と深く繋がっている。
- 6/11南アフリカのサッカーW杯が始まった。6/12韓国が格上のギリシャに対し2:0で快勝した。6/14日本もやはり格上のカメルーンに1:0で勝った。その後オランダには0:1で敗れたが、デンマークには3:1で快勝し、日韓とも16強による決勝トーナメントに進出した。6/29対パラグアイ戦は0:0で決着が付かずPK戦となり、3人目の駒田選手がバーにはじかれ敗れた。韓国も1回戦で敗退した。
- プロ野球セ・パ交流戦をオリックスが制した。始まって以来パ・リーグがチャンピオンを独占している。セ・パリーグ対抗と考えても、この時点では上位6球団がすべてパ・リーグで、セに圧勝という極端な結果だった。実力のパという言葉が囁かれるようになって久しいが、その言葉通りの結果が例外なく毎年現れている。セ・リーグは早急に根本的対策を取らないと、マイナーリーグ視が定着する。女子ゴルフの宮里藍が米ツアーで4勝目を勝ち取り、日本人初の世界ランキング第1位となった。年間4勝は'87年に岡本綾子が達成して以来の記録である。
- 大相撲に大型賭博が常態化している。琴光喜関が野球賭博の支払い問題で暴力団から口止め料を逆請求されたことから事が明るみに出た。すでに親方、力士の数人の名があがり、雲隠れした親方も出た。相撲界の賭博は、おそらく成立期以来引き継がれてきた関係者の娯楽であったのだろう。今は暴力団の関与だけに問題を絞り、内部の花札、麻雀などは徐々に修正するのが望ましい。今までマスコミ主導の下に、魔女狩りが行き過ぎて、伝統文化が「角を矯めて牛を殺す」状況に陥った例がある。琴光喜ら14力士が休場、琴光喜と大嶽親方(元貴闘力)には除名または解雇、時津風親方には降格以上の処分がなされる。名古屋場所は開かれる。
- 6/13夜、小惑星「いとかわ」探査機はやぶさは、オーストラリアのウーメラ砂漠に降下し、カプセルを放出後、本体は燃え尽きた。カプセルは10kmHで落下傘を開き7m/sに減速、着地した。14日正午には、先夜pm11:56のオーストラリア軍ヘリによる着地したパラシュート付きのカプセルの写真が公開され、同日無事回収された。今回故障だらけの探索機の帰還の立役者となったイオンエンジンは、NECの開発品で、Xeをマイクロウェーブでカチオン化し、それを電場加速して推力とする。世界初のイオンエンジンの実用化は日本国内で多くの反響を呼んだ。蓮舫議員も今後は「2番手ではいけないか」などと科学者に問うことはないであろう。削られた「はやぶさ2」の予算復活が話題になっている。
- NHKスペシャルの「深層崩壊が日本を襲う」を見た。昨夏台風の集中豪雨で起こった台湾の山津波で、500名もの犠牲がでた。山全体が動いて村を一瞬に埋め尽くし、川を堰き止めそのダムが崩壊して2次的災害を下流地帯に引き起こした。なだらかな山の斜面に深く浸透した雨水が、深さ数十mの深層崩壊を起こした。普通の山津波は表層の数mほどの深さでしかない。理由は地盤の褶曲による岩石の割れ目が水の浸透を容易にしたためという。我が国でその可能性のある危険地帯は数多い。
('10/06/30)