海フェスタよこはま

「海フェスタよこはま」行事の一環である船の一般公開に参加した。新港埠頭の青雲丸についたのが11時を回っており、最後に再び青雲丸を訪れたときが4時を回っていた。会場に5時間、往復の移動に4時間半合わせて9時間半ほどその日は戸外にいたことになる。戻ってから夏の日差しの強烈さに気がついた。肌の露出部は赤黒く変色していたのである。青雲丸にはついていなかった。午前の入場が11時までであり、午後のそれが4時までだった。結局この船は外観を見ただけに終わった。昼食は会場付近でと思っていたが、いざとなると年寄りが一人で入る食堂というのはないもので、結局は帰途に横浜駅でパンとコーヒーを遅昼にすることになった。
みなとみらい線の馬車道駅で下車。馬車道駅ではフリーマーケットが賑やかであった。新港埠頭へ歩く。青雲丸だけではなく公開船はいずれも入場時間制限で船内見学できなかったために、午後の乗船が始まる13時以降に引き返してくることとし、説明用立て看板だけを写真にして、大桟橋に行く。大桟橋の自衛艦は昼の入場制限時間帯をもうけていないと聞いた。2棟の赤レンガ倉庫があって、新港埠頭に近い方の1Fを覗いてみた。小樽にも港町に類似の倉庫を利用した大きな施設がある。横浜の方は人通りの多い割には通路が狭くごみごみとした印象だった。ファーストフード店もあるにはあるが入りにくかった。象の鼻パークでは吹奏楽団がポピュラーな曲を演奏していた。ずいぶんと遊覧船が出入りしている。大型だけを書き留めると、Royal Wing、マリーンルージュ、マリーンシャトル。どの船もスマートだ。
大桟橋の西側に海上自衛隊の「しらせ」と「きりしま」が停泊し、一般公開をやっている。入場の列は東側の中央部あたりまで伸びていた。辛抱しきれなくなった子供がむずかり出すほど待たされた。まず砕氷艦しらせ(南極探検家・白瀬中尉からとった名であろう)を見る。見た目には中型のフェリーボート程度の大きさだが、基準排水量は12500トンというからやっぱり砕氷のための装甲は厚いのだ。万トンクラスになると艦長は大佐(一佐)だそうだ。商船だったらせいぜい1万馬力程度だと思うが、この船は3万馬力である。ヘリポートとその格納庫が付いている。2機搭載といった。ヘリの現物は置いてなかった。基地から飛来したヘリが海上遭難者の救助訓練の様子を見せた。港だから波静かでこの日は困難はなかったと思うが、ヘリが近づくと波しぶきが上がるので、ヘリの位置には工夫がいるようだった。
砕氷艦(南極観測船)が世間の耳目を集めたのは南極第1次観測隊輸送(宗谷)であった。何回あったか忘れたが、宗谷は南極氷原に閉じ込められて外国砕氷艦の援助を仰いだことがあった。その仕様が出ていた。しらせに比べると排水量は1/5近く軸馬力は1/6以下であった。現在のしらせの仕様は特級クラスで他国の船と比べて遜色がないようだ。その日のTBS番組「世界・ふしぎ発見」ではグリーンランド特集をやっていた。氷厚が最大3500mといった。ところが南極は4500mだと書いてあった。氷の量もグリーンランドは南極の1/10程度だそうだ。
「きりしま」はイージス艦である。最高水準の軍装を誇る。どうしても目が兵器の方にいってしまう。前後の甲板に上蓋を閉じた四角柱の列が埋まっている。Vertical Launching Systemという。ミサイル発射設備で、その作動模様をパネルで解説してある。水上発射管は魚雷を撃つ装置で、対潜水艦近距離攻撃兵器とあった。艦対艦ミサイル:ハーフーンはさりげなく置いてある。パネルがないと見落とすところだった。射程距離130kmとある。短距離ミサイルの部類らしい。127mm速射砲は昔でいう主砲だが、今の兵装はミサイルが主役だ。よっぽどの大海賊相手のときぐらいしか意味がないのだろう。弾頭と装薬は別べつにコンベヤに乗って火薬庫から供給され、砲塔手前でつなぎ合わされてタマの完成品になる。砲身に装填したタマは打ち出さざるを得ないが、その手前までの状態なら、いつでも分解して元の火薬庫に再保管できるようになっていると聞いた。並みの海賊が相手のときは20mm機関砲の方が主役なのかもしれぬ。火器類はレーダーと連動していて、戦う決心をした後はいわばロボット戦になる。ミサイルにだって標的を自動追尾し、誘導するレーダーが準備されている。打ち出したらもう砲弾任せであった2次大戦までの兵器に比べれば大変な進歩である。
測量船拓洋と巡視船いずは西の新港埠頭の係留されていた。どちらも海上保安庁に所属している。拓洋は海図、海底地形図を作る。自船の位置をGPSで測定し、海面下の計測を音波で行う。音波もマルチビームの時代になっている。航路中心に幅広く測定できるらしい。海底表面の反射だけではなく、海底地層界面からの反射波をキャッチして地層図まで描けるという。反射波を捕まえるセンサー・ケーブル(ストリーマーケーブル)は船尾の大きなリールに巻いてあった。測定時は海面に長いケーブルの尾を牽きながら、轟音を発射して反響音を記録、後はコンピュータが計算して図になるというもののようだった。戻ってから教育テレビのスイッチをひねったら、偶然、ハワイ火山列とその延長先にある天皇海山列の講義をしていた。プレート移動の証拠だと。目に見えない海底の凸凹などは、こんな最新の計測で事情がはっきりしたのであろうと思った。特別室があった。そう広くはないが調度品は客船のスイート並みだ。最近では保安庁長官が使用したと案内人が言った。
いずのパンフレットには災害対応型・救難強化型の巡視船と書いてある。北朝鮮の特務高速艇と戦ったタイプではないらしい。でも一応20mm機関砲が1基ある。きりしまのようにレーザー追尾の自動戦闘型ではなく、銃手の手動銃のようだった。20mmぐらいでは弾頭は金属の固まりで大砲のような炸薬は入っていない。同じ機関砲でも30何mmあたりから炸裂型弾頭になるのだと聞いた。小銃とか拳銃は別途保管してあるという。でもなんだか心細い巡視船である。医務室に治療台が2基備わっていた。お医者は外科だと聞いた。避難者収容空間は随所に見られた。ヘリコプター甲板横に工作用小道具倉庫が備わっている。水中を無人で走れるロボット・カメラがあった。何年か昔に、打ち上げ失敗でフィリッピン沖の深海に落下したHUAロケット・ブースター破片の探索収集は、この親玉のようなロボットで行ったのだろう。海上保安庁の庁舎が公開されていた。心臓部は見れなかったが、所属船の模型とか柔剣道逮捕術訓練室とかを見た。巡視船が速度重視かあるいは平和日本強調か知らないが、基本的にアルミ合金製で局部だけ防弾型になっているという話は気に入らなかった。
国交省の「べいくりん」という名の小さい海の清掃船が公開されていた。金網の芥さらい機が船の中央にあって、海上の固形浮遊物をゴミ箱へすくい上げる。ゴミ箱には海草類が詰まっていた。船尾には油水分離器が油の分離をする。サイクロン方式のようであった。東側の新港埠頭には海洋訓練所の銀河丸と青雲丸が公開されていた。銀河丸に乗る。練習船であるから教室とか演習室、実習用の船橋、それから実習生用の居室などがある。居住性は自衛艦よりは良さそうだ。立派なカタログを手渡された。6千トンあまりの船なのに、バウスラスターが付いている。可変ピッチプロペラで大角度舵だそうだ。フィンスタビライザーは付いていないといった。青雲丸にはそれが備わっていると聞く。二重底は船の安全のためだが、清水および燃料油タンク、バラスト水タンクを兼ねている。

('09/07/27)