正月要諦

イスラエルが年末よりガザ地区のハマス勢力に空爆を加えていたが、3日夜地上軍による侵攻を開始した。8日には国連運営学校が攻撃され、避難中の民間人多数に死傷者が出た。国連安保理は停戦声明を出した。アメリカは棄権。1/12には空爆開始以来のパレスチナ側死者が900名を超したと報じられた。18日にイスラエルが一方的停戦を発表したが、小競り合いは絶えない。20の日アメリカ大統領就任式と同時に完全撤退。
1/27読売は、スリランカの「解放のトラ」の最後の拠点が政府軍に制圧されたと報じた。政府軍優勢の背景に、アメリカ、インドの支援強化があるという。
オバマ・アメリカ大統領の就任式にワシントン・ホワイトハウス前の広場は200万人の群衆で埋まった。大統領はYes, We Can! とは言わず、アメリカ国民の厳しい現状への認識、世界と自国に対する責任と行動への参画を呼びかけ、中東和平と経済問題解決を最優先とすると発表した。白犬が人間を叱咤する人気TV CMに早速オバマそっくりさんが登場したのはご愛敬であった。
昨年のギョウザ中毒事件で回収保管されていた15万袋が河北省政府の指示により国有企業で配布され、新たな中毒事件を中国内で発生させていた。ギョウザ製造元の救済が目的であったと報じられた。中国は、中国で混入された可能性はゼロに近いと発表して以来、我が国の警察の照会には常に調査中としか連絡がない。1/22河北省石家荘市の中級人民法院(地裁)はメラミンの粉ミルクへの混入による中毒事件の犯人に死刑を宣告した。1/28読売社説に中国の航空母艦建造に関し、毎年の異常な艦船建造と軍備の不透明さに関する注意喚起論が出た。私は中国の国内の多難さを思うに付け、対外強硬姿勢で国民の不満のはけ口を作る方向に動くのではないかと心配している。1/27読売朝刊は、生体認証すり抜け事件に関し、「不法入国・韓国に裏組織」という見出しの記事を掲げた。韓国では関係者の摘発が相次いでいるという。
1/8朝刊によると、ウクライナ経由のロシア産天然ガスの欧州向け輸送が完全に停止した。表面上はロシアとウクライナの価格交渉が物別れになり、ウクライナへの供給停止、さらにウクライナが欧州向けガスを途中で無断引き抜きしているとして、パイプライン輸送を全面ストップさせたものである。ヨーロッパは全輸入量の2割を失った。ロシアのガス資源大国誇示、政治目的利用宣言のようでもある。東欧諸国の中にはガスラインをウクライナ経由のものしか持たない国があり、非常事態に陥っている。20日になり輸送再開。
野村HDが5000億円近い赤字('08/04-12)を、パナソニックが3500億円の赤字(3月期)を発表した。多の証券会社、IT機器産業会社も軒並みに赤字である。1/31には日立が7000億円、東芝が2900億円の赤と出た。任天堂が国内利益のトップになると言う。12月の自動車生産台数は平均24%の減少となった。類似の発表が続々と出ている。IMFは'09年の成長率を世界平均0.5%(前回予測2.2%)、アメリカ-1.6%、日本ー2.6%、中国6.7%と予想した。為替相場はあいかわらず1$が90円弱、1ユーロ118円と円独高のままである。
1/6:NHK:「プロフェッショナル 仕事の流儀」にへら絞り職人の松井三都男さんが出演した。へら絞りとは金属の展性延性を利用した金属加工技術である。彼は勉強嫌いで四万十川のほとりの生家から東京の町工場に就職し、以来40年を経て日本有数の技能者となった。高等技能を有するこの町工場は不況知らずの安定操業を続けているらしい。年末から契約社員、派遣社員の解雇が続きホームレス化への不安が高まっている。(1/30読売に昨年10月から今年の3月までの失職非正規労働者が12.5万人に上るという予想が出た。)私はゼニの論理が最優先で労働者は使い捨て出来るという体制の社会には我慢がならない。だが労働者も国家の福祉指向に甘えるばかりでは困る。昔から「手に職を付けよ」という。目標を定めて、松井さんの熱意、向上心、真剣さで仕事に日頃から打ち込んでいたら、たとえ馘首の憂き目にあったとしても、未来を悲観せずに生きて行けよう。マスコミもただただ可哀想、可哀想の映像だけでなく、彼らはどう反省すべきかを報じるべきである。
1/18読売の日曜広場は雇用対策を考えるというテーマであった。「進路選択に責任」という71歳の投書が目についた。同世代の人である。バブルの好景気時代に、工業高校では、担任教師の心配と指導にもかかわらず、フリーターを希望する生徒が多かったとある。当時のマスコミは、人間らしく生きることを優先すべきと主張していたと記憶する。我々の次の世代あたりまでは所属組織への帰属意識、忠誠心が存在した。これらは時代遅れと評価され、猛烈社員などもってのほかとされた。新聞の各国若手の忠誠心比較では、我が国は先進国最低を記録した。1年で退職する新入社員の割合が何割にも及んだ。投書者は「身勝手に進路を選択した人の安直さにもマスコミは触れるべき」だとした。私はその根本にある「産業と雇用を支え続けた忠誠心を軽薄に見下した過去」にも触れるべきだと思う。忠誠心を期待できないとき、資本がゼニの論理だけで動くことは目に見えていたはずだ。
1/24毎日夕刊一面トップに農林漁業に希望殺到という記事が出た。一時しのぎの腰掛け就職でなく本気で一生の仕事として取りかかって欲しいと思う。
1/12毎日一面トップに「官邸動かした派遣村」の記事が出た。民間団体と労組が壁を越えて協力し、年末の非正規社員解雇の波で膨れあがったホームレスの救済に行動した。彼らの行動力がなければ、議員も官吏も自分の持ち場を守るだけに終始し、年末年始の休暇に入り、ホームレスは凍てつく寒空に放棄されたままになったろう。政官民ともトップクラスは、解雇の波の深刻さをさほど重要事と考えていない節がある。
ソマリア沖の海賊対策に海上自衛艦を出動させる件では、中国のいち早い対応に遅れを取り外交上のポイントを稼げなかった。定額給付金2兆円の補正予算は1/27に成立した。クリスマス、正月に合わせればより効果が大きかったのに、間延びしてしまった。
読売に「大波乱に立ち向かう」という解説記事が連載されている。一流の筆者がそれぞれの意見を述べる。市場原理万能主義とか自由放任主義に限界が来たという認識は誰もが一致した。大不況に陥って、あらためて、世界は一にアメリカ、二、三が無くて四が日中露EUと言う秩序で動いてきたのだと解った。これからはアメリカの絶対優位は崩れようが、今まで四番目に甘んじていた諸国が三番目に昇格する程度で、相変わらずアメリカの鼻息次第で大勢が決まることになるだろう。不景気打開策にたいしては、判断できるほどの能力を私は持ち合わせない。もっと基底にある文明論には私にも意見がある。ハンチントンは「文明の衝突」と一刀両断にした。この論法では弱小文明はアメリカにひれ伏さざる限り生きる道がない。大作「ローマ人の物語」の塩野七生は被征服者の神(文明)をローマの神に取り込んだ(ローマに吸収同化した)多民族、多宗教、多言語、多文化国家ローマの世界平和維持策に範を採れと言う。パムク('06年ノーベル文学賞、トルコ人)はトルコのEU加盟実現に期待をかけ、キリスト教徒だけの自由、平等、博愛からヨーロッパは抜け出さねばならぬと唱える。確かにトルコは政教分離に成功し多民族国家を多年にわたって経験してきた。イスラム圏にあってキリスト圏との融和に大きな成果が期待できる唯一の国ではある。
都道府県対抗女子駅伝を見た。数ある中で欠かさず見続けている歴史ある駅伝である。京都が5連覇を成し遂げた。中三の久間双子姉妹の快走が大きく貢献した。妹の、監督の出だしはセーブという指示を無視し、最初から全力疾走し、最後まで衰えなかった区間新の走りは強く印象に残った。解説の高橋尚子が、この駅伝が自身にとって登竜門であったと述べた。大相撲初場所に3場所連続休場だった朝青龍が優勝。
NHK SP「女と男」全3回を見た。五輪競技はすべて男女別、だが一般的には、あからさまな性による優劣が見あたらない場合、役割に男女の区別を入れることは忌避されている。科学の進歩は今まで「あからさま」でなかった部分にも、男女差があることを教えるようになった。同じ症状の病気でも主因が男女で異なる場合がある、目的地に到達するまでの行動パターンが異なるなどの例が示された。囲碁、将棋の有段者数には極端な差がある。ノーベル賞受賞者数に大きな差が出ていることは有名だ。民主平等社会が徹底すればその差が解消すると今までは信じられてきたが、脳内活動のパターンが同じ目的にたいして男女に差があると言われるとこの確信もぐらつく。アメリカの公立義務教育現場で、男女別授業を行う学校が増えているという。成長期に女の方が早く大人になることは認められた事実だ。「男女七歳にして席を同じゅうせず 」はちょっと極端だが、10歳ぐらいからは男女別授業が復活してよいのではないか。私は戦中に小学校教育を受けた。4年生から男女別学級だった。男女に役割分担があることを早くに覚えたことは有益だったと思う。
1/6読売夕刊の追悼抄に故・藤田和夫氏が出ていた。大阪市大教授時代に阪神大震災を六甲山活断層の研究から12年前に予見した。私は大震災前に関西の地震学者が警告しているという新聞記事を読んだ覚えがある。小さな小さな記事で、当時の社会の地震学に対する無関心ぶりを象徴していた。震災後の評論に活躍するのではないかと思っていたが、マスコミに名を出すのは殆どが東大地震研で、マスコミには世俗的ビッグネームが必要なのだと感じた。現在では地震予知のために大規模な観測態勢が主要震源予想地ごとに設置され、予報体制も整備されている。藤田氏の先駆的研究が証明され、政官が動いたと言えよう。地震予知の恩人である。
NHK HV特集「ネアンデルタール人の謎〜最新報告・ゲノム解読の試み〜」を見た。今から3万年前まで、およそ20万年にわたり、氷河期のヨーロッパを支配した人類、ネアンデルタール人は1-2万年の共生期間はあったが、次第にホモ・サピエンスに西に「追いつめ」られ、ポルトガル大西洋岸壁の洞窟を最後に姿を消した。彼らの背は低いがホモ・サピエンスを凌駕する太い骨格と強靱な筋肉、大型の頭脳は、「文明の衝突」的抗争の結果と割り切るのに多くの疑問を抱かせる。言語能力の差に理由を見出そうとした学説があった。だが最新の研究で、化石より抽出された遺伝子にホモ・サピエンスと同じ言語関係遺伝子が含まれることが解った。狩猟道具からは、むしろネアンデルタール人の方が、共同作戦の意思疎通に言語が必要であったのではないかと推定される。
B.サイクス:「イヴの七人の娘たち」、01には両者の染色体数が違う、すなわちネアンデルタール人は類人猿と同じ48本(と仮定する)、ホモ・サピエンスは46本で、交雑してもその子孫は出来ない関係だという説を出している。遺伝学者は交雑を否定する。両人種が分かれた25万年前に、既に言語関係遺伝子は備わっていたと言うことか。なにしろ600万年前に分かれた類人猿とホモ・サピエンスの遺伝子の相違はたったの2%だというから、あり得る話だ。交雑で現代人種がネアンデルタール人からもらったなら、地の果ての、南米や豪州の民族にまでその遺伝子が行き渡っていることも、不可思議である。(これらの話は映像に出てこなかった)。双方の特徴のある骨格化石が複数発見されているが、サイクス説で矛盾無く説明できる。この説の紹介はなかった。映像はWall to Wall Media(イギリス)が昨年に製作した。現代風に装ったネアンデルタール人がNYを歩く。だが誰も異人種とは気がつかないという映像は直感的で面白かった。
1/29読売トップ記事にインフルエンザ万能ワクチン開発の記事が出た。従来のワクチンが細胞膜受容体が変化するたびに新たに作り直す必要があったのに対し、インフルエンザ内部の共通タンパク質に対応するワクチンとして、万能化した。マウス実験段階。国立感染症研究所、北大、埼玉医科大、日油の合同チームの研究。
1/24の亀戸天神の鷽替え神事に出掛けた。鷽の木彫りを頂くのに2.5時間並んだ。伝統行事が年々盛んになってゆく。梅に鶯が来ていた。

('09/02/01)