晩秋の花と実
- 歴博のくらしの植物苑を訪れた。毎年のようだが、「伝統の古典菊」展をやっていた。何10種類もの園芸種が鉢に植わって並んでいる。キク科の花は一般に頭状花序で、中央に筒状花が集合し、その束を取り囲むように周辺に舌状花が並ぶ。野生のキクでも筒状花と舌状花の花弁は色違いで、花序は虫を呼び込むのに絶妙のコンビネーションを見せる。文学的には一輪の花でも、植物学的には、無数の花それも構造の違う2種の花の順序正しく並ぶ花序なのである。これほど大輪になるとはっきりこの花序構造を見せるものがある。黄、桃、茶、紫、それらの中間色、濃淡の違い、花弁形状の違い、中央と周辺のコントラストなどなど見飽きさせない。園芸種の創生に苦労した江戸人は経験的にメンデルの法則を理解していたであろう。掛け合わせても低い確率でしか生まれない品種があるのだ。菊の展示は10/末から今月いっぱいだから、いい時期に来たものだ。
- 東屋と温室を中心に展示されている。東屋周辺には12月からの「冬の華サザンカ」展にそなえたものかサザンカの鉢がかなり並んでいた。モミジの鉢も並んでいた、立田川という銘の木があった。ひときわ色鮮やかで百人一首を踏まえた命名であることは明らかだ。法隆寺に隣接する平群町を流れる立田川は、今は竜田川だそうで大阪通勤圏内だから、在原業平の頃の唐紅とは違う風景になっているだろう。竜田川としなかったのがいい。
- この植物苑の花と実を追っかけた。以下歩いた順に記す。ナンテンの赤い実、クコのやはり赤い実、リンドウの青い花、食用菊もってのほかと阿房宮、食用とはいえけっこう大輪である、シロシキブの白い実、コムラサキの紫の実、ヤツデの白い花、球状の小花序が花柄に円錐状に配置された大型の複式花序である、ツワブキの黄色い花、花が出ないとフキがキク科だとはなかなか信じられない、ミツマタの白い花、カマキリが留まっていた、トウガラシの青、赤の実と青ワタの実、畑に栽培されていた、サルスベリの実、フヨウの実、ユズリハの濃紺の実、シロダモの黄色く小さな花、ヒイラギの白い花、近所の花のない葉がよく似た灌木がヒイラギナンテンであると知った、カリンの実、蔓性のハヤトウリの瓢箪状果実、ムクノキの紺色の実、クヌギとシラカシのドングリ、カシワやミズナラのドングリも探したが無かった、大型の柑橘類(ダイダイ?)の実、サザンカの花、マンリョウの赤い実、リュウキュウマメガキの実、ミニトマトぐらいの大きさだった、フジバカマの花、秋の七草に入っているが滅多にお目にかかれない花だ、オミナエシの枯れ花、これも秋の七草がだやはりなかなかお目にかかれない、ノコンギクの花、よく似た野菊の一つヨメナはもう枯れていた、アイの花、草全体の印象がタデ科である、ボケの花。植物苑前の銀杏並木が黄葉で美しかった。
- 我が家の周辺の花と実で植物苑になかったものは以下の通り。タチバナモドキの実、2-3ヶ月かかってやっと真っ赤になった、センダンの実、ナンキンハゼの白い実、紅葉が美しい、モチノキの赤い実、剪定したため実がいつもより少ない、クロガネモチの赤い実、トウネズミモチの黒い実、モッコクのこれも赤い実、トベラのザクロ型の実、ハマヒサカキの目立たぬ小さな花、ビワの花、今頃咲く木が実を実らす時期は来夏以降である。公園の花壇に多い草花はノースポール、キバナマーガレット(ユリオプスデージー?)などのキク科園芸種の数々だ。ベゴニアやストックも今が時期のようである。ついこの間まであったユッカランは姿を消した。
('08/11/20)