十一月要約
- 大麻汚染が高等教育の若者にまで広がっている。慶応大学では既に数件、同志社大学でも容疑者が出た。早稲田からも出た。大学生のエリート意識の喪失を心寒く感じる。大阪でひき逃げ事件があった。容疑者は飲酒と無免許の露見を恐れ、被害者を3kmも引きずった。被害者が死亡することは解っていたと容疑者は供述した。極端な自己愛が最小限の道徳心をも麻痺させている。ひき逃げ事件の言い訳にしばしば出てくるパターンになった。
- 神奈川県立神田高校の入試合否判定に、公表外の生活態度や服装の乱れをも基準にしたとして解任された校長を擁護する世論が沸いている。学校の生徒父兄主体の3千名を越える嘆願書が出たというから尋常でない。校長赴任で補導生徒数が半減したというから、試験得点以外に人間性をも選別の基準にする校長の方針は正しいと言えそうだ。当初処分支持の毎日がここに来てようやく擁護論者の意見を併記するようになった。私学ではおおっぴらにやっていることを、公立ではやってはならないと言う議論が、なぜ出てくるのか不思議である。
- 18日のNHK HV「京都の迷宮を訪ねて」で、路地の長屋の大家が店子の入居者選別法を答えていた。書面審査の後面接して、「家族」同然に暮らせる人かどうかで決めるといった。高校は義務教育ではない。校長の理想に初めから外れていて矯正できそうもない人物を外すのは当然だと思う。松沢知事や山本教育長は、自分の子供や孫を神田高校に入学させてみるべきだ。親殺し子殺し、自動車ひき逃げ引きずり殺人、元厚生事務次官夫妻(しかも2組)殺傷事件など非人間的事件が再々起こる。元次官殺傷事件は犯人が自首してきた。34年前に飼い犬を父親が保健所処分としたことを根に持った犯行と言うが、なぜ被害者と結びつくのか誰も判らない。保健所が厚生省管轄だったと言うことぐらいだ。住居附近では名代のクレーマーであったらしい。社会は、人間性を人判断の最重要基準に据えていることが、幼少の頃から解るような教育システムが望まれる。
- ヒトのES細胞から、立体構造を持つ大脳皮質の組織を作り出すことに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹チームが世界で初めて成功した。本年度文化勲章の京大名誉教授・伊藤清氏が死去した。確率微分方程式を案出し、偶然性のある自然現象の解析を可能にした。金融工学への応用で経済学でも著名な数学者であった。秋の叙勲の発表があった。地方版に載った叙勲者は殆どが地方の政治家や公務員で、自衛隊員への叙勲の多さも目立った。中には清掃員という人もあった。民間には叙勲に値するほどの人はいないとはどういうことか。
- 空幕長が二次大戦の日本の責任に関し、侵略意図を否定した論文を発表した。歴代政府見解と異なるこの歴史観・国家観は政府を困惑させ、彼を地位交替させ定年退職とした。政治的影響力のある地位の軍人が反政府的見解を公表することは厳に慎まねばならぬ。だが、言論の自由はしっかり守らねばならぬ。自衛隊員は反政府的見解を持ってはならないとか、政治的発言はまかりならぬと言うような議論は論外である。自衛隊員が一旦緩急の際に死地に赴く覚悟は、少なくとも表向きには、自らが信じる国家への信念からであろう。いつ代わるか解らぬ政権への忠誠ではない。自衛隊幹部が国体の議論に真剣な理由を理解せねばならぬ。自衛隊員側の踏み込んだ発言がもっと表にでないと、文官優先が国是だといった机上の空論だけが新聞を賑わすことになりかねない。隊内の陰に隠った鬱積が、突然外に向かってはき出されるような悲劇は2度と見たくない。
- パ・リーグの西武が日本シリーズの勝者になった。短期決戦での投手起用の差が出た。巨人は北京五輪の星野ジャパン同様に好投投手への未練で継投時期を誤った。渡辺監督はTVインタビューで謙虚に喜びを語った。西武はアジアシリーズでも優勝した。決勝戦は台湾代表・統一との戦いで、9回裏に機敏な走塁によりさよなら勝ちを収めた。十月要約に書いたように、WBCチーム監督は単純明快に優勝監督の渡辺氏にすべきである。勝負師としての腕の差は明々白々である。シリーズ前の巨人・原監督のWBC監督決定はいかにも唐突で、(読売による)出来レースと揶揄られても致し方がない。原氏もせめてシリーズが終わってから態度を決定すべきであった。読売幹部の意を戴して、早く表明する必要があったのかも知れないが、ご本人何よりも日本チームの将来に関わることである、スポーツマンシップに則り賢く立ち回って欲しかった。女子テニス全日本選手権のシングルス・ダブルスに38歳にてカムバックのクルム伊達公子選手が優勝した。東京国際女子マラソンに尾崎好美選手が優勝した。久しぶりの新星だ。大相撲九州場所で横綱白鵬が9度目の優勝。優勝決定戦で敗れた関脇安馬は13勝で来場所での大関昇進を確実にした。
- 読売の特集記事「ネット社会 国境を越える闇」に最新の犯罪手法と被害の規模が出ている。11/5の記事はハッカーがクレジットカード情報を盗み出し、オンラインゲームを使って換金する方法を説明してあった。在日中国人留学生と中国内の中国人プレイヤーが組んでやるゲームに、盗まれたクレジットカード情報が悪用される。これまでも中国人が闇に紛れて群がっているという印象は、クレジットに限らずいろんな犯罪に出ていた。'07年のクレジット不正使用被害額92億円の内、古典的な悪用法による被害は半分に満たないという。
- 新車販売が世界で失速し、経済悪化に拍車をかけると懸念されている。日本-6.6%、欧州-8.2%、アメリカ-31.9%。トヨタの営業利益は前期比の1/4に落ち込み、ゼネラル・モータースもフォードも大幅な赤字決算になる。我が国の株価日経平均は9千円台に落ち着きそうだ。10月の世界の株価下落率はドルベースで、日本-14.3%、米国-18.0%にたいし、自国通貨が弱いアイスランド、ルクセンブルグ、ハンガリーでは40%以上の下落を示した。パナソニック(旧松下電器)が三洋の子会社化を発表しTOBを年明けから開始する。合計売上高が11兆円で、GEに次ぐ世界第2位の大電機会社になる。
- 景気対策という名目で、1人12千円の一時金支給が行われる。老人と子供には8千円が上乗せされる。この予算は合計2兆円。冷え込んだ消費心理の刺激策だが、お金の循環にどれほど役立つか。IMFに最大1千億ドル融資、発展途上国の金融システム安定化に世銀と共同で基金創設、日本は20億ドル負担。次々に気前のよいお大尽ぶりを発揮するが、自政府財政の不健全性からくる危険をこれ以上増やして貰っては困る。11/17赤字国債6兆円発行の記事が出た。実質対前期GDP四半期は2期連続でマイナスとなった。過去に2期以上マイナスであった不況はない。長期の経済低迷がやってくる。政府発表でも来年度の世界経済は日本をも含めゼロまたはマイナス成長と予想している。私は国財政赤字を増やすだけの「ばらまき」政策に反対である。
- アメリカ大統領戦で民主党オバマ氏が共和党マケイン氏を下した。議会改選も民主党圧勝でねじれが無くなる。オバマ氏は47歳で、ケニア出身の黒人の父親と白人の母親をもつハーフだ。黒人の妻とともに弁護士資格がある。初めての黒人大統領の誕生として注目されている。白人層の4割、黒人層の大半、ヒスパニックの2/3が支持に回った。年層では若者の支持率が高かった。「変革Change」をスローガンとして当選した。経済重視、低所得層保護、アフガン重視が眼目で、アジアでは中国との協調を模索するだろう。読売の調査では麻生内閣支持率が40%ちょっとにまで下がった。麻生首相は衆議院改選を避ける理由に経済危機の克服を優先するためと言っている。世界経済への影響力最大のアメリカが選挙を実施したのに、日本では出来ないとは不思議な感覚である。現ブッシュ大統領治世の一つの困難は議会とのねじれにあった。我が国も早くその是正に乗り出さねば、それこそ危機を深めるだけである。
- G20による金融サミットで金融規制、連携強化、財政出動などの方向が決まった。投資ファンドの規制、格付け会社の監視、新興国発言権の強化などの具体化は今後の各国に委ねられる。
- 11/16読売に、'20年試算で炭酸ガス世界の削減可能量は京都議定書を批准していない米中印に53%が集中していると出た。省エネ努力で削除できる余裕が国々で大いに異なる。先行してきた我が国では殆ど残っていない。これは技術者には京都議定書以前から解っていた問題であった。
('08/12/13)