- ボランティア活動をやりたいと言ってきた。大事な試験を控えているのにそんな余裕はないはずと思ったが、言っても聞かないだろうと諦めて、主客転倒はならんよと釘を刺した上で了承する。のめり込んで試験に落ちれば太くもない我がすねが更に細くなる、何のことはないボランティアを一匹親が養う結果になる甘っちょろい活動だ。でも義を見てせざるは勇無きなりで100の議論よりまず実行と気付いたのは偉い。わが家を代表して大いにやれと思う。わが家なんて概念はこの年代では希薄だが本人も親の尻拭いの可能性は感じているらしい。だから言ってきたのだろう。
- 私は阪神大震災のボランティアだとばかり思っていた。違うのである。小学校の同級生が警察に挙げられた、その救援活動だそうだ。小学校卒業以降随分時間が経っている。本当の悪人になっているのではないか、と言ったら時々は集まっているので人品が変わらぬことは解っているそうだ。それぞれの交際の輪から代表が出て嘆願書署名運動をする。初犯の時はことに、嘆願書は警察の心証に微妙に響くことは知っている。両親も弁護士の示唆で懸命に運動を依頼し回っていると聞いた。
- しかしわが子は苦戦の連続らしい。ともかく離れてから永すぎる。マスコミの報道が行き渡っているからマスコミの見方に合わせて事件を見ている人が大半で、担任であった先生にも断る人が出てくる。母親には本人の将来に陰を落とすから止めろとご親切な電話が入ってくる。マスコミよりはずっと暖かい見方で説明したらしく、それがまた評判になって、こんな説明ぶりだったと注進してくるのがいる。概してマンション住まいの人たちは、議論はふっかけてくる割に冷淡だったとこぼしていた。
- 思いがけない助っ人もいた。学校当時はでしゃばりママと悪評高かった人が下請けを買って出て、離ればなれで住所探しすら大変なのにかなり集めてくれたと言う。わが校でも嘆願書署名活動が全く別の事件に関連して実施されたことがある。平素目立たぬ学生が自身を除いたクラス全員とほぼ同じくらい集めて驚かしたことがあった。意外だったのは被疑者が異性の友人としてわが子らに紹介したことのある東京のさるエリート学校の学生だった。今後も交際を続けるか悩んでいるとか言う理由で活動はおろかミーティングにも出ないそうである。被疑者が多分一番頼っていたであろう人にしては全くお粗末な態度であった。確かに得な計算にはならぬであろう、それどころか週刊誌の旨そうな材題である。名前が出たら将来だって影響が出るだろう。だが、エリート中のエリートと自認し周囲も認める人の選択肢にこんな姿勢はあってはならぬといたくわが子が憤慨する。
- 私は学生にこのネタで高等教育を受けた人はブン殴られる覚悟で先頭を切らねばならぬ場合があると話した。皆さんならどう助言されますか。
('95/02/25)