- 石川さん、左巻さん、一色さん、木原さん(順不同)

- 私の駄文に関心をお示し頂いたことに感謝しております。駄文でも反応がないと寂しいもので、ここらへんが潮時かと思っていました。はじめは薄味を心掛けておりましたが、地震以降はちょっと関東味にしております。あんまり言い過ぎても鼻につくし、迫力不足でも読めない。せっかくこの一連の駄文を議長さん副議長さんがエッセイに格上げして下さったのだから、もう少し練れた文を送らねばならないとは思っています。「エッセイ」ですので思いつくままに新しい話題に進みます。せっかくコメント下さっても、流れるように考えついた話をそのまま書いているので、つまり地金でやっているので、お答えせずに進むときもあります。その時は悪しからず了承下さい。
- 時事問題には情報自体に誤認誤解も多く我が駄文が的確な指摘とは自信が持てぬ場合もありますが、完璧な情報を得てから支し障りの無い作文に取り掛かるのは官僚の作文で、いくら立派に書けても時期を失すれば気の抜けたビールで読む気を起こさせないでしょう。「地震はどこに起こるか」には面白い挿話がいくつかあります。その一つです。昔釧路沖地震の時テネシー市長は姉妹都市の室蘭市の市長に見舞い電報を打ったが、一向に返事がないので別ルートで室蘭は壊滅したのか調査したそうです。被害はごく軽微だったが、返事に至るまでのお役所のプロセスがそうさせたのだろうと皮肉ってありました。
- ついでですが、この本は著者の紹介記事の無い珍しい本です。肩書きや経歴で売ろうという粗悪本の多い中で全く内容だけで勝負している立派な本です。平易な語り口でしかも知りたいところをごまかさず現在の最先端までその実験法と共に記載してある最近の名著です。こんな先生が中学高校に出前講演してくれたら我が県の科学教育論なんて必要なくなると思いました。伊豆のなまずについての苦悩もしっかり述べられてあります。昔予知できると楽観したばかりに人がつき組織がつき金がつき笛と太鼓で踊ったが、よくよく見ればとんでもない難問だった。だが誰も修正しない。相変わらず予知できる建て前で予算は前よりたくさんつく。学者はありがたく頂戴し、学会ではいろいろ逃げの条件を発言しておく。卓抜なアイデァが出てきても予算の覇権は渡さない。
- 後の方は最近の情報を加味して私が勝手に想像で書きました。上記本の著者は誰も修正しないことを政治家と官僚の責任のように言っていますが、そこが私と違うところです。予算の集中している予知可能建て前の研究者集団東大地震研の責任というのが私です。毎年100億は使ったでしょう。私の研究などその万分の一でよい、流してくれんかなぁ。阪神大震災で予知できぬと発表した段階で元に戻りましょう。その予算は予知の一つの方向だけに集中せずに幅広く地球物理学の基礎研究に役立てましょう。
- 予知の可能性が東大から聞こえなくなってもそれなりに研究は将来に役立つはずですから、納税者は非難しないでしょう。もともとカンで予知などできっこないと国民の大半は思っているのです。情報の選択は国民に任せて、てんでに各学者各予報官が予想を立てて発表すれば良い。何か言うとパニックを心配し、情報管理に走ろうとするが、現実の大震災でも国民は冷静だった。予報が空振りの上パニックが起こったとしても、5000人死ぬより遥かによいではないかと例の京大の先生が言っておりました。国民の情報選択力を信じる建て前にすることです。この点でも私は上記著作者とは意見が正反対です。
- かって学内で科研費の申請テクニックの講習がありました。要は成果が確実視される、お役に立つと唱わなければ確率が悪いという内容だった。私は不確実、役立たず、ただオリジナリティに富むで何が悪いと反発を覚えまして、思わず騙しのテクニックですなと言ってしまい、後で講師を招聘した先生に苦情を言われました。先の話同様これもわが国が後進国であった時代の遺物で、銭にならねばならぬ科学という前近代的発想がいつまでも予算配分を開発途上的にしていると思います。「日本の科学よ、breakthrough, breakthrough」の国民の大合唱が耳に入らないのかと思います。
- 木原さん、私どもは非電解質の高分子を研究対象にしています。高分子電解質の世界ではいろいろ違った現象がみられますね。よくは知りませんが還元粘度が濃度に対して双曲線のようになるのは希薄化と電離によって分子の背筋が真っ直ぐに延びるためだろうと思います。電離による相互干渉もあるのでしょう。
- 私の「エッセイ」観は10の事実に一つのコメントです。なかなかそのように行かないのは私の情報収集力の限界からでしょう。いたく反省しております。今後もせいぜいコメントして下さい。
('95/02/18)