お猿のお山

NHK「日本人の質問」。動物園のお猿のお山はどうして皆同じ格好をしているのですか。大分在住の人の質問である。私は動物が好きだから、割にあちこちの動物園を知っている。しかしこんな疑問を抱いたことは一度もなかった。投書者の観察力にただただ脱帽である。答は上野の動物園の猿山を千葉の鋸山に似せて作ったのが好適と認められたからと云うのであった。しかし人間にもっとも近いお猿様のことだ。その時画面に出たようにグランドキャニオンでもよかったろうし、阿蘇山でも石鎚山でも猿はきっと順応するだろう。上野の猿が良かったと云ったとしても何故あとの動物園は皆同じ環境にして猿を飼わねばならないのか。お猿はきっとそんな猿真似は止めて欲しいと云っているのではないか。
太宰府の歴史博物館で似たような想いをした。奈良時代のお役人のお食事の見本の写真が示されている。高級役人と下級役人。昼飯前の食欲旺盛な時間帯で見たから、思わず生唾を飲み込む。と同時に中身を凝視する。何だか記憶にあるメニューと似ているのである。それは佐倉市の歴史民俗博物館の展示品そっくりの写真だった。役人はただ一種類のメニューで毎日毎日真面目に勤務していたのか。発掘される山のような木簡竹簡。食い物の残りかす。だのに日本全国を探しても正確な証拠はたった一種類しかないと言うのか。どちらも嘘のような気がする。何が云いたいかお分かりですな。私が食い意地が汚いせいか、食い物の展示の少なさにもがっかりさせられる。すべからく人間生活の基本は食うことであることを理解すべきでもある。
九州を旅して実感した事実の一つはこの地方に国立の施設が少ないことであった。博物館も佐倉のそれが国立であるのに太宰府のは地方立である。北九州の歴史、遺跡は佐倉よりずっと古い。ここならその地方だけでの展示が十分出来よう。佐倉の中身は大半が関東以外の歴史民俗である。別に京都奈良を佐倉で展示したら悪いとは云わぬが、こんな狭い日本で実物がちょっと走ればすぐに目の前だのに、わざわざ作る気が知れぬ。一方の研究者が教授、助教授なのに他方はただの学術研究員としか云わぬのも気に入らぬ。
人口2-3千万毎に一つの文化中心。それが先進国の常態ではないか。第二の古里の関東の悪口を云っているのではありません。不公平ぶりが地方に出ると目につくのです。そういえば、同じ学園都市と云いながら筑波には国立の大学や研究所が勢ぞろいし、京阪奈にはお付き合い程度、関西空港への投資も国は冷淡である。一極集中の弊害が叫ばれ出してから久しいのに外圧でもない限り民論だけではテコでも動かぬ狸寝ぶりである。いっぺん狸論争をやるのもいいですね。
とうとう化学が出ないまま脱線授業を地で行くお話になりました。あしからず。

('94/12/03)